2012-05

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「今度こそ納得する物理・数学再入門」 前野昌弘著(技術評論社)

とね日記で勧められていたので読んでみました。
ついでに感想書きます。

「誰もが答えを知りたかったFAQ」と赤字で入った背表紙、
そんな疑問を分かりやすく解説した一冊がでた。疑問は19
題あって、全て本の裏表紙に纏められている。簡単なものか
ら、かなり難しいものまでいろいろ入っているが、物理学科
で学ぶ学生なら一度は考えるものが多い。考えたが,答えを
ださぬまま進んで来た人も、答えをだしたが既に疑問すら忘
れてしまった人、人それぞれの楽しみ方がある。これを読んで
また色々と考えてみるのも面白い。

私の場合、疑問13のアンペールの貫流則の謎は知らなか
った。あまり深く考えずに答えを見てしまったが、略納得。
本当は計算しないのに納得してはいけないのだが・・・・



裏表紙にあるような疑問をもっている人は一読の価値がある
と思う。解説は分かりやすいイラスト付きで簡潔に纏まって
いるので、興味あるところだけ読めばよい。疑問は、もやも
やっと持ったまま勉強を進めることもあるが、やはり早期に
解決しておく方が良いだろう。気分的にもすっきりするし、
自分の理解にも自信がもてるようになる。当てはまる疑問が
ある貴方、早く書店に走ってすっきりしましょう!



悩めるみんなの統計学入門 (中西達夫著、 技術評論社)

nayameruminnanotoukeigaku.jpeg

悪魔の妄想でブログを書いている、rikunoraさんが出版した統計学に関する書籍です。内容を絞って6章編成

1章 分布
2章 分散
3章 相関
4章 標本
5章 カイ二乗検定
6章 t検定

となっています。最初の4つの章は、統計学の基本で必ず押さえておかなければ
ならないもの、基本中の基本といえるでしょう。女子高生のイラストが表紙にあ
りますが、各章もこのようなイラスト一枚から始まります。柔らかいイメージで
すね。内容は、手書き風の説明図があり、分かりやすく、なんだか家庭教師の先
生に教えてもらっているような感覚で学べます。もっと詳細に書くなら、優しい
理系のお姉さんの家庭教師でしょうか(注:個人差ありw)。

統計学について、基本を身につけたいけど、難しい専門書はちょっと・・・
という人にお勧めな一冊です。数学は中学生程度の知識しか必要はないでしょう
が、内容的には高校1年生程度を念頭に書かれたものではないかと思います。
「会社で、統計処理をしているんだけど、実は良くわかってない」とか、社内
プレゼンで「アンケート結果がどうのこうの」と聞くたびに聞き流している人
などにもちょうど良いレベル設定です。とにかく、統計の知識ミニマムはこの
一冊でおさえましょう!

数式が多少入っているので横書きスタイルで出版して欲しかったという
個人的な意見はありますが、丁寧に書かれた一冊ですから、是非売れて
ほしいなあと思います。

熱とはなんだろう (竹内薫著,ブルーバックス)

netsutohanandaro.jpeg

熱力学を勉強しようと思って購入した一冊。なんだか
派手な表紙だなーと思いつつ中を開いて見る。

第1章 マックスウェルの悪魔21
第2章 ちょっとエンジンをかける
第3章 溶鉱炉とブラックホールの黒い関係

と、簡潔な章立てである。気がついてみるとこれは
ブラックホール・エントロピーに関する啓蒙書であ
った。そういえば、表紙にも「温度・エントロピー
・ブラックホール・・・」という副題らしきもの
が書いてある。

予期せぬ、高度な話題に、期待と不安が高まりつつ
読み始めるのだが、あれ? こんなに軽く触れるだけで
良いの? 最後の方にいくと話が急激に高度になって置
いてけぼりをくうんじゃないの?と不安。
しかし、この本はかなりそこら辺のことを良く考えて
書かれており、非常に丁寧に、必要最々・・・最小限
の知識だけを説明している。そして最後はブラックホー
ルエントロピーの問題について切り込む。

う〜ん、うなった。ブルーバックスで、ここまで興奮を
味わえたことに大満足。これ以上を求めるなら専門書を
読むしかないだろう。通勤電車で読めるギリギリのレベ
ルを維持しつつ最新の話題を真面目に取り扱った啓蒙書
として、著者の意気込み、努力、力量を感じ取れる一冊。

ブラックホールエントロピーという言葉は何度か聞いた
ことがあったが、数学的な話題に違いないと、興味の対
象から除外していたが、この一冊で俄然興味がでた。

映画「4デイズ」

映画「4デイズ」、内容もしっかりと確認せずに見てしまいました。

「あー、見なければよかった」、「これが現実だよ、見ておくべきだよ」
と何とも複雑な気持ちの一作です。でもほんと見なくてもいいよ、
こんな究極の選択、普通起こらないし・・・というのが本音ではある。
しかし9.11では普通じゃないことが実際に起こっているだろ?っていう
現実は否めない。難しい話はおいとくとして、内容簡単にまとめておくか
(ため息まじり)

アメリカ国内の3カ所に核爆弾を仕掛けたテロリストが逮捕される。
FBI捜査官であるヘレン(キャリー・アン・モス)はテロリストを
自白させるために招集され、サミュエル・ジャクソン演じるH
(実名不明)と共にテロリストへの拷問が始まる。

そして映画は、ひたすらこの拷問が行なわれる室内を取り続ける
という内容である。途中,拷問のプロフェッショナルであるHの
私生活が映し出され、Hが家庭内では子供達に愛される良き父親
であることが分かる。捜査官ヘレンは拷問反対で、テロリストに
も人権を認めるべき、所謂「正義派」であるが、次第に拷問に手
を貸し始める・・・。そして爆破予告時間が迫ってくると、とう
とうHの最終兵器が・・・。

怖い・・・怖い。


それで、こんな怖い映画の後には「I see you.com 〜ハレンチ
のぞき見大作戦」を見ると良い。というか、意図せず借りたおば
か映画だったが、4デイズを見た人のため、リハビリ用として最
適であった。内容は、そのまま。もう、とにかく難しいことは考
えずに、本能のままにバカやっちゃえばいいじゃんというノリ。
見終わった後、「面白かった?」と妻にいわれて、まあまあと答
えたが「その割には爆笑してたけど?」と言われてしまう始末。
いやー、こういうおばかなノリの「○○大作戦」とかいうタイトル
って昔から結構すきなんだよねえ。 人生たまにはバカしないと
息苦しくなるでしょ?

20年後への投資 「[独修微積分学 梶原譲二著 (現代数学者)」

大学時代微分方程式などが理解できずに、かといって授業で質問する
こともできない私は、自分で勉強することを決心して「独修微分積分学 
梶原 譲二著(現代数学社)」を購入した。非常に良くできた一冊で、
将に独修にふさわしい一冊であったことを記憶している。


梶原先生のはしがきの日付は昭和57年1月とあるのでこの本は30年
以上前の前のものである。しかし微積分学のようなオーソドックスな
数学に関しては、既にその学習方法というものが確立しており平成の
現代においてもその学習スタイルは変わらない。この本は大学生向け
の微積分学の内容であるが、大学院入試のための参考書ともなる。
(演習問題は様々な大学院入試からの集めたものである)
-----------------------------------------------------
1.数 2.式 3.関数 4.微分 5.積分 6.三角関数  7.指数関数  
8.線形微分方程式 9.実数の連続性公理 10. 平均値の定理
11.テイラー展開 12. 級数 13. 整級数 14. 微分方程式の記号的解法
15.偏微分 16.陰関数の存在定理 17. 多重積分 18.積分記号下の微分
-------------------------------------------------------

内容は、89ページに18章がまとめられており、各章はSummaryの
1ページから始まり、ここに各章の内容が纏められている。そして次
の1ページにexampleと題した基本的な演習問題とその解説が2つ程。
その後演習[A]が1ページ、演習[B]が1ページ。この4ページを真面目
にやれば基礎的なことは身に付くという構成である。
一度真面目にやった読者にとってはSummaryだけ読み返せば基本を思
い出せる。これは微積分学がたったの18ページに纏められたもので、
この分量が学生にとっては非常に嬉しい。ミニマムを理解していると
いうことが自信にも繋がる。

とにかく一人で勉強している私にはこの本は心の支えであった。数学的に
特に高尚なものが含まれているわけではないが、数学を身につけるための
実用書としては最高の名著であると思う。この本の特徴は演習部分[A],
[B]の解答が160ページも費やして丁寧に解説されている。なんと全269
ページの半分以上が解答解説なわけである。「数学は自分の手を動か
して身につけるもの」という著者の教育経験が強く現れている一冊で
あると思う。


kaji_shinjyu_oyoukaiseki2.jpg

「独修微分積分学」が大層気に入った私は同著者の「新修応用解析学
(現代数学社)」も購入している。工学系の学生のための応用数学を
上記の一冊と同じ精神に基づいて纏めたものである。

当時3,605円で購入した一冊であるが、amazonで15,247円で取引
されている。うーん、約20年の歳月で4倍の値段となっている。
amazonでの値段を見て、思わず「小遣いができた!」と。解析学を
身につけたいと向学心に燃えていた貧乏学生も、卑しい物質世界の流れ
に染まってしまったのだろうか。俗世間の誘惑に負けそうな自分に喝を
入れつつも・・・ニヤニヤ。

宇宙は本当にひとつなのか (村山斉著,ブルーバックス)

utyuhahontounihitotunanoka.jpeg

我々はこの宇宙についてどこまで理解しているのだろうか? 
「この宇宙は本当にひとつなのか」(村山斉著)は,最近の宇宙論の
研究について分かりやすい言葉で語った啓蒙書である。

内容は昔から知られている暗黒物質の話題から始まり、ダーク
エネルギーの発見について解説し、次第に空間次元が4次元や5次元
などの高次元理論へと発展してゆく。我々の宇宙に満ちている
エネルギーを測ってみると、通常の物質が4%程度しかなく、
暗黒物質が23%もあるという。暗黒物質は、光を放出しない
ので我々の目では見えない物質だと思われている。光で見ること
ができないのだが、その質量が万有引力で確認できるのである。
更に驚くべきは、70%がダークエネルギーというこれまた訳の
分からないものだということである。訳の分からないものでも、
それが『70%も在る』と言えるのが科学の妙というものだろう。
そういったことを分かりやすく解説してくれるのが嬉しい。

後半になってくると、実は我々の宇宙以外にも幾つも宇宙があって
も良いのではないか?などのSFとも思える話題が議論される。
ワクワクしながら読み進める。

数式は使わない一般向けの啓蒙書のスタイルで、例え話も取り
入れつつ、様々な話題が一つの物語として繋がってゆくような、
スリルに満ちあふれている。 最近の宇宙論の話題が軽快なリ
ズムで語られるのがこの本の特徴ではないだろうか。反面、多少
ストーリー展開が早くて置いてけぼりをくうことがあるかも知
れない。それでも、膨張宇宙論や相対性理論について聞きかじ
ったことがある読者なら非常に満足のいく一冊ではないだろうか。

まとめると、軽いタッチで話がすすんでゆくが内容的にはかなり
高度なことがさらりと書いてある。深く理解したいというよりは
最新の話題に広く触れたいという読者にお勧め。読み終わって、
「宇宙ってやっぱり魅力的だなあ」と思える一冊。

高校数学でわかる半導体の原理 (竹内淳著,ブルーバックス)

koukousuugakuhandoutai.jpeg



「高校数学でわかる半導体の原理」、帯には「原理が理解できる、
もっともわかりやすい半導体の入門書」とある。私の感想では、
タイトルにも帯にも嘘偽りはない。ただ「高校数学でわかる」と
いうのは必ずしも「高校生がわかる」ではない。数学は高校程度
であっても、この本に述べらている物理は相当に奥が深い。
はっきり言うと、「半導体わかった!」と叫んで読了した人が何
%くらいいただろうか疑問である。しかし、それでもこの本は、
「最もわかりやすい半導体の入門書」といっても過言ではないと、
素人の私が言うのもなんだが、そう思うのである。

半導体関係の理論的な本は、キッテルをはじめとして、数冊読んだ。
そして思った、

「半導体、深い・・・・」

「そして、難しい・・・」

いろいろな本を読んだが、この「高校数学でわかる半導体の原理」
は、丁度良い分量で必要最低限の数式を使って分かりやすくまとめ
てあり読みやすい。読みやすさのもう一つの理由は、簡単な例をつ
かって直接的に物理的結果を導くことを追求していることもあるだろう。
論理的なステップは短い程良い。この本はよけいなことを省き、伝え
たいことの本質だけをまとめることに徹している。だからストーリー
が良くわかる。そして必要最小限の数式はしっかりと使って理系人間
も満足、そういう作戦だ。

また、半導体開発をめぐる物理学者達の逸話なども非常に面白い。
というか、この部分が多少難しい部分を読むのに疲れた読者に良い
マッサージをしてくれる。マッサージが効きすぎて、数式を流して物語
として、読んだ人もいるのではないだろうか。まあ、それでもかなり
半導体の原理を直感的にイメージできるようになるような気がする。

まとめとして、物理の内容とお話の分量がちょうど良い。またタイトル
を見てこの本を手に取った読者のレベルと内容がマッチしていて良い。
物理を学び始めた大学生や、時間のあまりない社会人、多少数式も使い
つつ半導体について手っ取り早く知識を得たい人々にお勧めの一冊である。
久しぶりに良い本にめぐり会えたと思えた。


節目

長い間「アトムの物理ノート」を趣味として楽しくやって来ましたが,
最近は忙しくてなかなか更新できません。マニアックな記事ものが多
い割には、ブックマークしてくれた方もいたようで、たまには記事に
対する質問やコメント、文章の間違いからとんだ勘違いの報告まで頂
けて非常に有り難いことです。

ブログを始めたのは2005年の夏頃だったと思います。特に打ち込む
趣味もなく、何か熱中出来るもの,時間を忘れて打ち込める何かを求め
て「アトムの物理ノート」を始めました。目標を見失いがちな日々の
中で、このブログを書くために勉強している時間は特別な意味を持って
いました。ブックマークに入れて頻繁に記事を読んでくれた方、宿題に
追われて検索でたどり着いた方、有り難うござました。おかげ様でなん
とかここまで自分を見失わずに歩いてくることが出来ました。

さて、最近、私には一つの転機が訪れました。そんな中で「アトムの
物理ノート」も変わらなければならない気がします。勉強に終わりは
ありませんし、私が物理の勉強をやめることもありません。しかし、
今のような形でブログを続けてゆくのは難しい気がします。

「アトムの物理ノート」では、物理に興味を持ってくれる人を増やし
たいという大きな目標がありました。その意味ではブログという形態
は多くの方に気軽に読んでもらえる無料の記事という点が目的に合致
しているように思います。もう一方で、ある程度物理について理解し
ている人に、次なるステップを提供するという目標もありましたが、
どうもそちらはブログ(またはネット上の記事)は不向きなのかなあ
と感じています。またブログをやってゆく中で、ガッチリとしたもの,
おそらく本の形で出版するような物を書きたいという欲求も生まれて
きました。

そんな訳で,暫く物理の記事に関しては休暇を取ることにします。
ブログはこのままの形で残りますが、更新は殆どないでしょう。
今後どのような形で物理の啓蒙活動を続けてゆくのか,まだ良く
わかりませんが,取りあえず一休みしてエネルギーを蓄えた後に、
新たなスタートをきりたいと思います。

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趣味   近所散策と物理