fc2ブログ

2024-03

目次

≪ プランクの輻射公式 ALL フェルミ統計 ≫

プラク分布と3K輻射

プランク分布は、単位体積あたりのエネルギーをスペクトル分解した式である。つまり温度Tの空間に満たされる光のエネルギーは振動数の関数として次の分布に従うことを予言する。

u(ν) = [8πh/c33/(ehνk/(kT)-1)

この式は、もちろん量子論を生み出すことになったわけだが、それだけにとどまらない。話は50年ほど前のペンジアス・ウィルソンの宇宙背景輻射の発見にさかのぼる。当時ペンジアスとウィルソンは電波天文学のための高感度の電波受信のアンテナの設置をしていた。彼らはアンテナに入ってくる雑音の起源に悩まされていたのだが、この雑音が実はただの雑音ではなく、我々が温度3ケルビンの宇宙という箱に入っていることの証拠として認識された。これは、我々の宇宙が膨張しているという観測結果(ハップルの法則)と合わせるとビックバン宇宙論へと繋がる事実だというわけである。




プランクは温度Tの黒体輻射の問題を調べていてプランク分布にたどり着いたわけだが、ペンジアス・ウィルソンは、我々自身も宇宙という箱の中にいて、その宇宙は温度T=3Kであるという世紀の大発見をしたわけだ。ペンジアス・ウィルソンの観測結果が出た当時は宇宙から、降り注ぐ光が雑音として見えているだけであったが、最近になってCOBE(Cosmic Background Explorer)のFIRAS実験結果は,その雑音のスペクトルがプランク輻射のスペクトル分布と完全に一致することを示し、宇宙からくる輻射は温度にしてT=2.72Kであることを結論した。



上の図はFIRASのデーターとプラク分布が完全に一致していることを示している。と、LAMBDAのweb-pageには書いてあると思うのだが、データーが見えない(?)ので、この図が理論曲線なのか、実験データーのフィットなのか不明。図を再現しようと思ってT=3にして横軸が5の値のところでピークが出るといいたかったのだが、再現できず(涙)。横軸はwave/centimeterと書いてあるが、これは何でしょうか? 知識不足で再現できないのが悔しい。 (削除した文章に関しては追記を参照)

さて、今回の話と直接は関係ありませんが、COBEと言えば宇宙背景輻射の揺らぎの観測も行っている(DMR実験)。背景輻射の揺らぎの観測はその後WMAPへ引き継がれ、素晴らしい結果がでています。WMAPの素晴らしい図を鑑賞してもらってこの記事は終わります。「なんだか綺麗だ・・・」と思いましょう。私もそれくらいの認識ですから、ただ解像度良さそうだなあという雰囲気だけ。そのうち勉強してこの揺らぎの図の持つ意味を解説したいと思います。

ilc_7yr_gal_moll_512.png

上にあげた二つの図(プランク分布、宇宙背景輻射の揺らぎ)は Legacy Archive for Microwave Background Data Analysis (LAMBDA)のweb-pageから使わせてもらいました。

(追記)LAMBDAのウェブページから取ってきた図の横軸の意味が分からなかったのですが、Susumuさんからコメントをもらい解決しました。Susumuさん、コメントありがとうございました。LAMBDAのプランク分布の図は横軸を1cmの波の数と書いてあるので、通常使われる振動数νとwave/cm = ν/cと関係しています。 ここで光速c=3×1010 (cm/s)をを代入すると

ν = 3*1010*x

となります(xはLAMBDAのweb-pageからもらってきた図の横軸の単位)。よってu(3*10^10*x)をxに関して0から20までの範囲でプロットした図が以下で、確かに上のものと一致しているようです。分布のピークはおよそx=5(1/cm)です。
myfiras_spectrum.jpg


コメント

>> 「●」とか「error bar」とか書かないと実験物理の先生に怒られると思いますけど(^^;

通常だとそうですが、「誤差が小さく理論曲線と実験データーのプロットが区別つかない 」とどこかに書いてあったと思うので訊いてみました。

コメントありがとうございました。

綺麗な曲線になりましたね!

>図には実験値も書いてあるってことなんですかね?

「●」とか「error bar」とか書かないと実験物理の先生に怒られると思いますけど(^^;

Susumuさんへ、ありがとうございます

一つ目の問題解決しました!ありがとうございます。

二つ目の問題ですが、図にある曲線は理論曲線ですね、LAMBDAのページにそう書いてあることを確認しました。LAMBDAのページには曲線上に実験値がのっていて、理論曲線と実験値の一致が良いので識別は不可能だというような記述が有ると思います。つまり、図には実験値も書いてあるってことなんですかね?まあ、どちらにしてもx=5当たりのピークが再現できたので、満足です。 ありがとうございました。

>横軸はwave/centimeterと書いてあるが、これは何でしょうか?

1cmあたりの波数じゃないですか?

ピークが大体5 wave/cmですから、波長でいうと2mmになります。こんな長くても遠赤外っていうんですね。

>この図が理論曲線なのか、実験データーのフィットなのか不明。

理論曲線ですね。
LAMBDAのweb-pageから引用。

----- ここから -----
The solid curve shows the expected intensity
----- ここまで -----

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://letsphysics.blog17.fc2.com/tb.php/503-572f7d28

«  | HOME |  »

CATEGORIES

RECENT ENTRIES

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

APPENDIX

アトム 

アトム 

趣味   近所散策と物理