2017-10

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≪ Q004 何処に行ったの?  ALL 離散関数のフーリエ変換 その1 ≫

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一次元量子力学 井戸型ポテンシャル1

今回は教科書にもある井戸型ポテンシャル問題を解く。シュレディンガー方程式の解として無限遠でスムーズにゼロになるような束縛状態に対応した答えを求めることにする。
square_well_fig_01.gif
ブログで数式を書くのは面倒なためにプランク定数や質量などをまとめてシュレディンガー方程式を次のように書いておく


     -(d/dx)2φ=(ε-v)φ     

     ε=(2mE/h2)     v=(2mV/h2)



Eはエネルギー、Vはポテンシャルの高さで

   V(x) = V       ( 0 < x< a )
      = 0       ( それ以外 )



ポテンシャルV(x)はx < 0 と a < x だけで値を持つことから、3つの領域に分けて考えると簡単だ。それぞれの領域で波動関数は




     φ1=A1 exp(+κ x)    

    φ2=c1 exp(+ikx)+c2 exp(-ikx)    

    φ3=A3 exp(-κ x)    


ここでkやκは波動関数を二回微分したときに(ε-v)φになるというシュレディンガー方程式の要請から





     k=√ε ,      κ=√(v-ε)     ( 0 < ε < v )


である。ここで仮定した解の形にたどりつくまでの考え方を補足1にまとめた。



波動関数φ(x)とその微分φ'(x)に関する連続性の条件を考えよう。
波動関数を3つの領域に分けたために連続性の条件は4つある。

① φ1(0)=φ2(0)
② φ'1(0)=φ'2(0)
③ φ2(a)=φ3(a)
④ φ'2(a)=φ'3(a)

①~④の4つの条件を解くと4つの未知係数(A1,A3, c1, c2)のが決まると思うかもしれないがそうではない。シュレディンガー方程式は常に規格化の分だけ決まらないのである。なぜならシュレディンガー方程式は線形微分方程式であるから、φ(x)という答えが求まれば、それをα倍したαφ(x)も答えである。つまりシュレディンガー方程式の解としては4つの未知係数の比だけが決まるのだ。すると4つある条件のうち一つは不要なのだろうか? なにか重複する条件になっているのだろうか? 

①~④を解いてみればわかるが、実は余分な条件はエネルギーεに対して制限を付ける。量子力学では通常束縛状態のエネルギーは離散的になるのだが、今回の余分な条件もエネルギーが飛び飛びの値をとることを要請する条件になる。この計算は少し面倒なので詳細は補足にまわした。ここではその結果だけを使おう。

波動関数がx=0とaで連続であることと、波動関数がx→±∞でゼロになることからエネルギーE=(hk)2/2mに関して





     k/√v = sin(nπ/2-ak/2)     



が導かれる。この式はこれ以上簡単にはならない。与えられた問題ごとにa と vの値を入れ、整数n毎に対応した離散的なk、つまり離散的なエネルギーεを決める式である。以下に特殊な状況を考えてこの条件を解いてみよう。



無限に高い壁V→∞の極限を調べる。この場合波動関数は 0 < x < a の領域の外にでることが出来ないので、これは箱に入った電子に対応している。
V→∞なので、v=2mV/h2→∞を考える。エネルギーの条件は

k/√v = 0 = sin(nπ/2-ak/2)

となって、nが偶数と奇数の場合で

k = 2π/a×(整数、又は半整数)

となり、箱にはいった電子の問題でよく知られた離散的な波数とそれに対応したエネルギー固有値が得られる。エネルギー固有地は整数に対応した数だけ無限にある。波動関数はV→∞に従い、|x| > a の領域では limV→∞exp(-√V |x| )でゼロになる。つまり壁の位置で波動関数はゼロになる。これは箱に入った場合の波動関数の境界条件としてよく使われるものである。



Va=定数で a→0の極限を考えよう。これはV=C/aと定義すると

lima→0 V(x) = V - Cδ(x)

と、原点にδ-関数の穴が開いたポテンシャルに対応する。エネルギーの条件

k/√v = sin(nπ/2-ak/2) = cos(ak/2)

はn=1の場合だけを考えると十分である。小さいaの極限であるから、右辺をテイラー展開すると

k/√v ~ 1-(ak/2)2/2 ~ 1 - a2v/8

となる(右辺の二つ目の式はk~√vを使った)。V→∞を考えているのでエネルギーの原点をVだけずらして極限を取らないと全てのエネルギーが発散する。

lim E-V
= lim (hk)2/(2m) - V
= h2/2m × lim [k2 - v]
= h2/2m × lim [v-(av)2/4 - v]
= -mC2/(2h2)

となる。これはδ-ポテンシャルがある場合のエネルギー固有値として得られる結果と一致している。この場合には束縛状態はこの一つしか存在しない。ここで考えたV→∞、a→0の極限は物理的な意味が分りにくいのでδ関数ポテンシャルの記事で再度考え直すことにする。


=====================================================================
(補足1) 実は x < 0 と x > a の解も φ1,2=a exp(ik'x)+b exp(-ik'x) の様に二つの波の重ね合わせで書くのが一般解である。ここで

k'=√(ε-v)

であるが、ε > v なら k'は実数なので波動関数 φ1,2=a exp(ik'x)+b exp(-ik'x) は振動解でx→∞でゼロにならない。これは束縛状態ではないのでここでは ε < v を考えなくてはならない。束縛状態のエネルギーはポテンシャルよりも低い、そのために井戸型ポテンシャルの中に閉じ込められるわけだ。するとk'は虚数になるので

k'= i √(v-ε) = i κ

とおいて

φ1,2=a exp(-κx)+b exp(+κx)

である。x→±∞でゼロになる解は x < 0 の場合には a=0 と取らなければならず、a < xならb=0である。これが上にあげた各領域での波動関数である。

===================================================================
(補足2)
ここでは①~④の4つ条件全てを解くことはせず、次の二つの条件だけを解く事にする。
⑤  φ'1(0)/φ1(0) = φ'2(0)/φ2(0)

⑥ φ'2(0)/φ2(0) = φ'3(0)/φ3(0)

この条件は ⑤=②÷①からでて来る条件、⑥=④÷③からでて来る条件である。計算は面倒そうだが難しいことはない。

⑤ → c2/c1 = (k+iκ)/(k-iκ)

⑥ → c2/c1 = exp(2iak)(k-iκ)/(k+iκ)

という条件が導ける。これは二つともc1とc2の比を与えるものだが、二つが矛盾しないためには


(k+iκ)/(k-iκ) = exp(2iak)(k-iκ)/(k+iκ)

が成立しなければならない。整理すると

ak + nπ = -i Log[(k+iκ)/(k-iκ)]

となる。式にexp(2iak)があるので、両辺の1/2乗を取る時には注意しなければならない。exp(2iak)=exp(i(2ak+2πn))と考えて1/2乗を取ると任意の整数nが式に導入される。

さらにk=√εとκ=√(v-ε)で (ε < v ) あった事を思い出し、k=√v sin(θ), κ=√v cos(θ) とおいて整理すると

ak+nπ=-iLog[-(cos(θ)-isin(θ))/(cos(θ)+isin(θ))]=π-2θ

この式の両辺のsin関数をとりsin(θ) =k/√vを再度使うと

k/√v = sin(nπ/2-ak/2)

が得られる。ここでn∈任意の実数。




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