2017-11

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≪ 論理演算と真偽表 ALL 厄介な公式 ≫

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ブロッホの定理3

周期ポテンシャルとしてデルタ関数が間隔a毎に存在する場合の一次元シュレディンガー方程式を考えよう。

[ p2/(2m) + V(x)]Ψ(x) = EΨ(x)

V(x)=Σn C*δ(x-na)

今回はエネルギー固有値Eとブロッホの定理の関係、つまりエネルギーがバンド構造を持つことについて説明するつもりだ。

先ず -a < x < a の制限された領域を考えてシュレディンガー方程式を解いてみよう。この領域に存在するデルタ関数はδ(x)のみであるから、シュレディンガー方程式を整理し

-(d/dx)2Ψ = (ε- c δ(x) )Ψ

を得る。ただし ε=2mE/h2、c=2mC/h2と式を短くするためにまとめた。シュレディンガー方程式は原点を除けば自由粒子であるから、解として右=(-a,0)と左=(0,a) の二つの領域で

Ψ右, 左 = a exp(ipx) + b(-ipx)

という形になるはずである。次にポテンシャル障壁の右と左で求めた波動関数を原点にあるデルタ関数の効果を考慮しつつ巧くつないでやるとaやbが決まるだろう。この問題は「一次元デルタ関数ポテンシャル1、2」で既に詳しく調べた。答えだけを書くと、この場合のシュレディンガー方程式の解は

ΨL(x)= exp(ipx) + r exp(-ipx) ( x ≦ 0 )
ΨL(x)= t exp(ipx) ( x > 0 )

r = -1/[1-2ip/c] 、 t = +1/[1+ic/(2p)]

であった。原点での接続性の条件から係数t, rが決まっている。これはポテンシャルの左(Left)から粒子を入射した状況で、デルタ関数の壁に|r|2の割合で反射され、|t|2の割合で透過する波に対応する。実はポテンシャルの右から入って反射と透過を起こすような解も存在する。もともとの問題設定は左右対称であったから当然のことだろう。そのような状況に対応した解は

ΨR(x)= t exp(-ipx) ( x ≦ 0 )
ΨR(x)= exp(-ipx) + r exp(+ipx) ( x > 0 )

であることが分る。散乱問題では電子を左から入射してその反射率と透過率を調べた。その際にはΨLだけを調べてΨR=0という状況を考えていたわけだ。今回は散乱問題ではなく、周期的に繰り返すポテンシャル中の電子を調べているのだから二つの解を重ね合わせた一般解を調べるべきである。重ね合わせの解は

Ψ(x)= AL ΨL + ARΨR

と書ける。つまり右から入射した波と左から入射した波の重ね合わせが一般解である。ここで係数AL , Rはどのようにして決まるのだろうか? 二つの独立解 ΨL, ΨRはそれぞれ原点で波動関数の値が一致して、その微分がデルタ関数のポテンシャルによって要求されるようなトビが出るように構成されている。つまり波動関数の原点でのつながり方は既に考慮されているのだ。

実はブロッホの定理を使うとAL, Rが決定される。ブロッホの定理は波動関数Ψ(x+a)=exp(ika)Ψ(x)を要求する。この要求は任意のxについて成立するのだが、我々はAを決定するための条件を得るためにx = 0,-a/2の二点を選んで条件を書き下してみよう。ブロッホの定理より

Ψ(a) = exp(ika)Ψ(0)
Ψ(a/2) = exp(ika)Ψ(-a/2)

Ψ(x)=AL ΨL + ARΨRを使ってこの条件を書くと

[exp(-iap)+r exp(iap)-t exp(iak)]AL+[-exp(iak)+t exp(iap)-r exp(iak)]AR=0

exp(iap/2)[exp(-iap)+r -t exp(iak)]AL+exp(iap/2)[-exp(ia(k-p))+ t - r exp(iak)]AR=0

かなり長い式がでてきてしまうが、難しいことはない。二つの式は次のような形をしている

a AL + b AR = 0
c AL + d R = 0

一番目の式を解くと AR =-(a/b) ALであり、これを二番目の式に代入すると

(c-d(a/b))AL = 0

この式は(c-d(a/b))=0でなければならないことを示している。そうでなければAL = 0であるが、これは波動関数がゼロを意味しておりつまらない解になってしまう。a, b, c, dに具体的な表式を代入して退屈な整理作業を行なうと

(c-d(a/b)) = 0 ⇒ cos(ak)=cos(ap)+(c/2p)sin(ap)

という条件が導かれる。この条件式の右辺cos(ap)+(c/2p)sin(ap)を適当な値を選んでグラフに描いてみた(ここではc=20)。
bloch_intro_05.gif

水色のバンドはグラフの高さが-1から1に入る領域である。cos(ak)は絶対値が1より大きくなりようがないために、この領域以外では条件式は満たされない。

少し話の流れをまとめてみよう。

①波動関数は各領域で自由粒子と同じ形 ⇒ E=p2/(2m) 

②この波動関数は原点でデルタ関数の影響を考慮して接続する。
⇒ΨL とΨRという二つの解が得られる。

③更にこの解の重ね合わせが一般解 ⇒Ψ=AL ΨL + AR ΨR

④x=0、-a/2の点でブロッホの条件を考慮⇒ARがALで書かれる。更に二つ目の条件式が成立するための条件が出てくる。

cos(ak)=cos(ap)+(c/2p)sin(ap)

この条件をここではバンド条件と呼んでおこう。バンド条件を満たすためには運動量pは何でも良いと言うわけではない。例えば運動量pが小さい過ぎると、バンド条件の二項目(c/2p)sin(ap)において分母にあるpのためにこれは絶対値1を越えてしまう。このようにしてpに対して制限がつくのだが、この式を解くのは難しいので、後は数値的にこの条件が満たされるkとpの値を求めることにする。
bloch_intro_06.gif

バンド条件を満たすkとpの値を求めると次のようなグラフが出来る(c=20)。横軸はkで縦軸はエネルギーE=p2/(2m)である。赤い線がバンド条件を満たす(k, E)の値を示す。黄色い領域はブリリアーンゾーンと呼ばれる-π/a< k < π/a の領域であるが、詳しい説明はまたの機会にする。ここで言いたいことはブロッホの定理から運動量pにバンド条件がつくために、エネルギーEに対して許される値とそうでないものが存在するということだ。グラフの縦軸をみると -20 < E < 30 の領域には許される領域がないことが分る。このような領域をエネルギーギャップと呼ぶ。詳しい説明は追々してゆくとして、今回はブロッホの定理から波動関数に条件を課すとエネルギーギャップが出来ることを理解して欲しい。次回エネルギーギャップが出来る理由をもう少し直感的な方法で理解したいと思う。

文章をあまり練ってないが、時間もないのでこのままアップすることにする。

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