2017-04

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≪ 熱力学のはじめに ALL 映画「ナルニア国物語 第一章」 ≫

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温度その1

熱力学が成立する遥か昔から温度という概念は存在していたであろう。中世中津国で剣を作っていたマスターは「これはオンドン(温度の造語)が高いから触れると火傷をする」と言っていて弟子たちに注意を促した。温度は我々の感覚に基づく熱さを表すバロメーターであったが、近代の熱力学の発展に伴い科学的なものへと精密化されていった。1724年のファーレンハイトによる華氏温度(F)の導入に続いて、1742年に水の氷点をゼロ、沸点を100としたセルシウスによる摂氏温度(℃)も広く普及した。現代科学ではケルビンによって導入された、絶対温度(K)(1848年)を用いることが殆どである。

ところで通常熱力学の授業で唐突に温度が現れることが多い。その定義についてあまり詳しく触れない。何故なら温度の正体を知るためには熱力学と統計力学の深い知識が要求されるからである。つまり熱力学の導入部で温度について突っ込んだ議論をするのは効率的ではないという教育的配慮だ。しかし温度は熱力学でもっとも大事な概念の一つであることに変わりはない。そこで熱力学や統計力学を一通り勉強した立場から温度について纏めるとどうなるだろうか。一通り勉強すると温度についてこれくらいの理解が得られる、またこんな事しか分らないと(私の理解度に強く依存する)暴露しようというわけだ。ここでは経験的な温度から出発してケルビン卿の絶対温度の導入、そして「なぜ熱は温度の高い方から低い方へ流れるか?」という疑問に関係してエントロピーと温度の関係について触れたいと思う。 thermo_fig_01.gif


さて熱力学における経験的温度を定義するための準備。気体の圧力Pと体積Vはシリンダーに働く力と体積から測定可能な力学量であるから周知の事とする。上の図と対応した圧力と体積を一まとめにして(PA , V A), (PB , VB), (PC , VC)と書く事にする。ここでシリンダーの表面を接触させることによって熱のやり取りが可能であるとしよう。話を簡単にするために接触面以外では熱のやり取りは行なわれないという理想的状況を考える。 ここで経験的な事実として熱力学第0法則を導入する:




    熱力学第0法則: 系AとB、BとCがそれぞれ熱平衡状態であればBとCも熱平衡状態にある。



二つの系が熱平衡状態にあるというのは状態A=(PA , VA)の系とB=(PB , VB)を接触させて熱のやり取りを許してやってもそれぞれの圧力と体積が変わらないことを言う。第ゼロ法則は、系AとBを接触させて変化が起きず、また系BとCを接触させて変化が起きないとなれば系AとCを接触させても変化は起きないことを主張している。当然の事と思われるだろうが、これを一応熱力学第ゼロ法則と名付けた。この「熱平衡状態にある二つの系」という事を、数学的に表現すると

AB(PA , VA , PB , VB )=0

という関係式が成立する事であると要請しよう。FABは気体A,Bによって様々な形を取るであろう4変数関数だ。同じようにBとCが熱平衡状態にあるならば、

BC(PB , VB , PC , VC )=0

を要求する。一番目と2番目の式をVBについて解くと

VB=TA(PA , VA ; PB)

VB=TC(PC , VC ; PB)

と二つの答えが得られるはずである。これらは同じVBであるから等しく

A(PA , VA ; PB)=TC(PC , VC ; PB)

という関係式が得られるが、右辺を移項すればこれはFAC=TA-TBである事になる。かくしてAとB、そしてBとCが熱平衡にあればAとCも熱平衡にあるという事の数学的な表現がなされた。例えば間に挟む系Bの気圧を一気に圧固定するとAとCの平衡状態は

A(PA , VA ; 1)=TC(PC , VC ; 1)

が成立することである。これは一気圧下での気体Bの体積膨張VBをメモリとして用いた温度系を使用することに対応する。系Aの温度はVB = TA(PA , VA ; 1)で決定され、Cの温度はVB=TC(PC , VC ; 1)である。両者の温度が等しい時にAとCは熱平衡の状態であると言える。このようにして導入された温度を経験的熱力学温度と呼ぶ事もある。

その2へと続く予定。

<記事を書いていて思ったこと>
この温度の定義は、関数TAが温度計の圧量PBに依っているという少し気持ちの悪いものになっている。温度とは物質に固有のもので、測定装置の性質に依るべきものではないという気がしてならない。しかし、これが温度の定義だと言われればそれはそれで何も問題ないのではないかという気がする。実際温度の定義に「一気圧下での」という圧力に関する条件がついているものだ。こういった定義が気持ちが悪いという人は熱平衡の表現であるFAB(PA , VA , PB , VB )=0の関係式を

A(PA , VA)= FB( PB , VB

という分離した関数等式が成立する事であるとあっさりと書いても良いと思われる。熱力学の本を見る限り理想気体やファンデワールス気体など私が見る限り全ての例がこのタイプに当てはまると思われる。実際の実験でもこういった分離型の関数関係式が成立するのではないかと思われる。するとあまりにも一般的な4変数関数を導入するのがやり過ぎだということなのである。私自身悩んだが結論がでないのでこのまま公開することにした。詳しい方は教えてください。

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