2017-11

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≪ -100K その2 ALL Q17 優乃の漸化式 ≫

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ミクロな世界ではエネルギーが保存則しない!?

ときたま量子力学のミクロな世界ではエネルギー保存則が破れているという記述を見かける。物理学の授業ではそんなことは聞いたことがない。エネルギー保存則は現代物理のあらゆる分野を貫く重要な法則である。誰でも知っている。だからエネルギー保存則が破れていると大変なことである。エネルギー保存則の破れを主張する人達はこの破れがミクロなスケールでのみ起こりマクロな物理学には影響がでないと考えているようである。そういったアイディアとして次の二つが持ち出される。

(1)エネルギーEと時間tの不確定性関係といわれる ΔEΔt > h からΔtの間だけΔEだけエネルギー保存が破れていると考えるアイディア。


(2)真空から仮想的な電子と陽電子が生まれるプロセスがエネルギー保存の破れを生み出すというアイディア。 これら二つのことからミクロな世界ではエネルギー保存則が破れていると考えている人がいたらそれは単純な誤解であると言いたい。

(1)の場合でもっとも単純なのは式の意味する所を理解せずに勝手にΔEはエネルギー保存則の破れの程度だとする思い込み。または不確定性関係の導出の複雑な計算に惑わされ、納得はいかないまでもΔEだけエネルギーの幅があることをエネルギーが保存しない事の現れであると勘違いしてしまう残念な場合。(不確定性関係の導出に一次摂動の公式が使われているために数式が複雑で物理的意味を見失ってしまうのだろう。)どちらにせよ、量子力学においてもエネルギー保存則が成立することは一般論で証明されているのだから何かがおかしいのだ(エネルギー保存則は時間方向への対称性がある場合にネーターの定理によって保障されている)。

二番目のパターンはSFの話題としてよく使われるディラックの海の直感的なイメージそのまま信じ込んでしまっているために起こる誤解ではないかと思われる。”仮想的な電子と陽電子が真空から生成される”というのは誤解を招きやすい表現である。”仮想的”と書いてあるからにはそんな過程は観測されないのだ。また仮想的な過程であってもエネルギー保存則は満たされている事は証明されているのでエネルギー保存則が破られることはけっしてない。

つまり私の知る限りではミクロな世界でもエネルギー保存則が破れることはない。この手の話では大抵の場合エネルギー保存則が破れているわけではなく、単純な勘違い又はエネルギーの流出先を正しく認識していないだけの事である。歴史的にはエネルギー保存則が破れているかもしれないと考えられた時期はあった。しかしエネルギー保存則はそういった時代も生き延びて現代物理のもっとも基本的な法則の一つとなった。パウリがニュートリノを導入したのはエネルギー保存則が破れているはずはないという信念に基づいていたことを思い出そう。

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