2017-10

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≪ ニュートリノ その1 ALL 二準位系 その2 ≫

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二準位系 その1

量子力学の二準位系を考える。解析的に解けて簡単だという利点と量子力学特有の概念などを勉強するには最もよく使われる例題といっていいだろう。電子のスピン問題やニュートリノ振動などへの応用という面でも非常に重要である。論理を明快にする目的で細かい計算の過程は書かないが、各自手を動かせば数式もおえるように書いてゆくつもりである。

まず、二準位系を記述するには行列形式が便利である。それを導出しておこう。状態ベクトル|Ψ>に対するシュレデンがー方程式は

id/dt|Ψ(t)>=H|Ψ(t)>

である。系の状態がスピンの上下のように二通りのみでその固有地ベクトルを|↑>,|↓>とする。これらの状態ベクトルは時間に依存しない。シュレディンがー方程式の左からブラベクトルを挟んでやると、



id/dt <↑|Ψ>=<↑|H|Ψ>=Σs<↑|H|s><s|Ψ>

id/dt <↓|Ψ>=<↓|H|Ψ>=Σs<↓|H|s><s|Ψ>

となる。三番目の変形で完全系1=Σs|s><s|を挿入した。これらは行列の成分とみなせ、ベクトル波動関数と行列ハミルトニアンを以下のように組める。



Φ=(<↑|Ψ>, <↓|Ψ>)


H= ( <↑|H|↑>, <↑|H|↓> )
   ( <↓|H|↑>, <↓|H|↓> ) 


このベクトル波動関数と行列ハミルトニアンを用いるとシュレディンがー方程式は


id/dt Φ=H.Φ

と書ける。さてここまでは一般論である。これ以上進むには具体的な行列ハミルトニアンの形が必要である。1/2スピン系やニュートリノ振動にも使えるかなり一般的な表式として以下では

H=
( 1+ε ,  Δ )
( Δ  , 1-ε ) 


を考えよう。以下は線形代数の知識があれば単純にすすんでいくのだが、予備知識のない読者を前提にゼロからやっていく。


================================
ステップ1. ハミルトニアンの固有地と固有ベクトルを求めよ。つまりH.v=λv となるベクトルvを求める。固有ベクトルとその固有値は二つあるので、固有ベクトルを v1,2 として 固有値をλ1,2とする。答えは

λ1=(1+ α),       λ2=(1- α)

α≡√(ε2+Δ2


と求められる。(行列式|H-λI|=0を解けばλの二次方程式の解として固有値がでるのだった。説明が必要な人は掲示板でどうぞ)


v1=1/√N1 {ε+α,Δ}

v2=1/√N2 {ε-α,Δ}

N1,2=2*(α2±εα)


ここでとv1,2が規格化されるように選んだ。これが固有値ベクトルになっていることは行列ハミルトニアンを掛けて確認できる。

================================
ステップ2.直行行列U={v1, v2}を作るとこれはハミルトニアンを対角化することができる。つまり



U=
( (ε+α)/√N1, (ε-α)/√N2 )
( Δ/√N1 ,      Δ/√N2 )


対角化されたハミルトニアンには、もちろん固有値が現れる

U.H.U=
1, 0 )
(0 , λ2)


ここまでくればもう少しだ。

================================
ステップ3. このUとUTと挟むとハミルトニアンが簡単になる!よってシュレディンが方程式もなんか簡単になるのではないかと思うのでやってみる。

id/dt U.Φ=UT.H.U.(U.Φ)

ここでU.Φ≡ΦU.H.U≡Hとでも書いておくと、と対角化されたシュレディンガー方程式が導出される。

id/dt Φ=H

H≡U.H.U=
1, 0 )
(0 ,λ2)


各成分は二つの独立した微分方程式となっているので簡単にとける。Φ={ΦU,1, ΦU,2}と書くことにすると、成分についてのシュレディンガ方程式は


id/dt ΦU,11ΦU,1


この微分方程式は良く知っている、微分して自分に比例する関数、指数関数である。よって答えは


ΦU,1(t)=e-iλ1tΦU,1(0)


同様にしてΦU,2(t)に対する方程式から


ΦU,2(t)=e-iλ2tΦU,2(0)


が求まるわけだ。もとのようにベクトルに組んでやると



Φ(t)=T.Φ(0)

T={e-iλ1t, 0}
{0, e-iλ2t}



ときれいな式がでる。これをもとの波動関数、つまりUTを書ける前の波動関数に戻すにはUを掛けてやればよい、(UTU==1)。よって最終的に求めたかった行列波動関数Φ(t)は


Φ(t)=U.Φ(t)
  =U.T.Φ(0)
  =U.T.U.Φ(0)


と答えがでる。Φ(0)は時刻0での波動関数であって、我々が初期条件として選んでよい。Uとその転値で挟まれたU.T.UTを具体的に計算すると


U.T.U=e-it×
(Cos[tα]0-i(ε/α)Sin[tα],-i(Δ/α) Sin[tα])
(-i(Δ/α) Sin[tα]), Cos[tα]+i(ε/α)Sin[tα])

となる。これを掛けて、初期条件Φ(0)を選べば波動関数を求めたことになる。例えばΦ(0)={1,0}というt=0で|↑>状態だっとする。時間がたったときのΦ(t)が|↑>である確率は|Φ1(t)|2と↑成分の二乗を取ればよい。これをP(↑)と書くと

P(↑)=1/2 (1+(ε/α)2+(Δ/α)2Cos[2tα])

となって、時間と共にcos[2tα]で振動していることが分る。この現象をニュートリノ物理ではニュートリノ振動というし、スピン1/2の系を議論するときにはスピン際差運動と呼ぶ。もちろん初期状態をいろいろ変えるとP(↑)は変わってくる。

ニュートリノ振動での具体的な応用を別の機会にする。

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