2017-10

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≪ 二準位系 その2 ALL ニュートリノ その2 ≫

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二準位系 その3

二準位系はこれほどないほどシンプルであるが、物理的応用という面ではかなり奥が深い。今回は二準位系の結果を使い量子力学の理解を深めていく。

次のような簡単化された問題を考えてみよう。まず二つの箱を用意して、この中に一個の電子をいれる。電子が右の箱の中に存在する状態を|R>と表し、左の箱の中にある場合は|L>とする。ここで箱が電子の移動を完全に禁止するような場合には、右の箱に電子をいれると、その後いつ箱を開けても電子は右の箱の中に発見される。左の箱の中に入れると、その後いつでも左の箱の中に電子は存在する。
ここで二つの箱を隣り合わせにならべ、箱同士の接触する面を通して電子の移動が可能な場合を考える。つまり、この面は電子に対して半透膜の役目をする。何が起るだろう? 我々はt=0に右の箱に入れた電子が任意の時刻tで左の箱に見出される確率に興味がある。

この二つの箱の中を移動可能な電子に対するハミルトニアンをHとする。我々は電子が右の箱の中にあるのか、それとも左の箱の中にあるのかだけに興味がある。例えば電子が箱の隅に発見されるとか、箱の中央に発見されるとかいう詳細な情報には興味がない。
このような場合、シュレディンガー方程式を|R>と|L>の状態に射影してやるとよい。電子に対するシュレディンがー方程式は2行2列の行列微分方程式になるだろう

id/dtΦ=H.Φ

H=
(E0 ,Δ )
(Δ ,E0 )

ここで Φ=( <R|Ψ >,<L|Ψ > ), E0=<R|H|R>=<L|H|L>, Δ=<R|H|L>=<L|H|R>とした。以下簡単のためにE0=1とするが、これは二準位系その1で使った行列ハミルトニアン(ε=0)に対応することがわかる。つまり我々は既に答えをしっている。


Φ(t)=U.T.U.Φ(0)=
e-it×
(Cos[tΔ],-iSin[tΔ])
(-i Sin[tΔ],Cos[tΔ])
×Φ(0)

U=1/√2×
(1 ,-1)
(1 , 1 )


最初電子を右の箱に入れる、つまりΦ(0)=(1,0)から出発すると

Φ(t)=e-it×( Cos[tΔ]ΦR-itSin[tΔ]ΦL)


ここでΦR=(1, 0) , ΦL=(0, 1)は電子が右、左に局在している状態である。t=0に電子を右の箱に入れた場合には、時刻tの波動関数は右に局在する波動関数と左に局在する波動関数の間を振動するということだ。時間とともに電子は右にいったり左に行ったりしてるわけだ。

さて二準位系のその1で、行列ハミルトニアンに対する固有関数v1,2を求めた。つまり我々は定常状態をしっている。ε=0の場合にその解を,ΦR,Lを用いて表してやると

Φ+≡v1=1/√2(ΦRL)

Φ-≡v2=-1/√2(ΦRL)

となる。つまり定常状態は電子が右にある状態と左にある状態の重ね合わせである。Φ±はそれぞれエネルギーE=1±Δの状態を表す。

ここではΔ≧0を仮定しているので、基底状態はΦ-であり、そのときのエネルギーはE=1-Δ。電子は局在するより右と左の波動関数の重ね合わせの方がエネルギーが低くて安定だということだ。こういう状態は分子化学で共有結合として実現している。共有結合では電子は左右二つの原子核の周りに局在する波動関数の重ね合わせである。そのほうが、一つの原子核の周りに局在するよりエネルギー的に得なわけである。

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