2017-09

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≪ eの極限再考 ALL フォーが? ≫

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eの極限再考 2

気がついてみるとeの事を「自然対数の底 e」といっていましたが、ちゃんとNapier(ネイピア)数という名前がついているのでそう呼ぶ事にしましょう。余談ですがネイピアは数学者ではなかったそうですが、数学で非常に大事な自然対数の底に彼の名前を冠したのには理由があります。このことについては私も最近まで知りませんでしたが、猫顔さんが記事、ジョン・ネイピア対数誕生物語をきいてを書いてありましたので紹介しておきます。非常に面白かったです。感動悲話です・・・ほろりきます。是非読んでみてください。


それではEn≡(1+1/n)nとen≡Σk=0,n1/k!の極限が一致する事を証明します。前回示Enもenは単調増加数列で極限をもつ事を示しました。以下では二つの極限が一致するために

en( 1 - en/n) < En < en

を示します。eが存在することが保証されているのでこの式によってEnはハサミウチされています。つまりn→∞の極限で

e ≦ E ≦ e

が結論されて二つの極限は一致します。ハサミウチの上限の式は簡単に導けます。二項定理を使って

(1+1/n)n = Σk=0,n n!/((n-k)!k!) 1/nk
= Σk=0,n (1-0/n)(1-1/n)(1-2/n)...(1-(k-1)/n)/k!
< Σk=0,n 1/k!

です。最期の不等号は分子にある積の中で引き算の項を全て無視したことによります。 下限を押さえる式はちょっと面倒なので補足(C)にまわします。これでネイピア数の二つの定義は一致する事が証明されました。そしてその極限を求める際にはenの方が収束性が良いので通常e≡Σk=0, ∞1/k! と書かれる事が多いようです。

今回の記事を書くにあたって下限を押さえる式は探しましたがなかなか見つける事ができませんでした。結局試行錯誤の後今回の結論に達しました。もしかしたら間違いがあるかもしれないと思い数値的にもチェックしてほぼ間違いないだろうと思っています。もし不備があれば教えてください。因みに高木貞治の解析概論には今回の証明がちゃんと載っていると聞きましたが、あいにく手元にないために確認していません。解析概論は学生時代「これは名著だ」と薦められて何度か目を通しましたが無味乾燥に思えて読んだことはありません。今なら砂漠にも多少の緑を見つけることができるかもしれません。オアシスさえ存在しているのですから....






*************** 公式(A) ****************
n≧k の場合次のような評価ができます。

(1-1/n)(1-2/n).....(1-[k-1]/n) > 1 - (k/n)[k-1C1 + k-1C2 + k-1C3 +... + k-1Ck-1]

導出は以下参照

(1-1/n)(1-2/n).....(1-[k-1]/n)
=1 - (1/n)[1+2+3+.....+(k-1)] + (1/n2)[1.2+1.3+....+(k-2)(k-1))] ....+(-1)k-1(1/nk-1)[1.2....(k-2).(k-1)]
> 1 -(1/n) k-1C1 (k-1) - (1/n2) k-1C2 (k-1)(k-2) - ..... - (1/nk-1) k-1Ck-1 (k-1)!
> 1 - (k/n)[k-1C1 + k-1C2 + k-1C3 +... + k-1Ck-1]

最初の不等号の箇所は、1以外の全ての項の符号をマイナスに変えたものよりは大きいという事をつかいました。また

[1+2+3+...+(k-1)] ≦ k-1C1 (k-1)
[1.2+1.3+...+...+(k-2)(k-1)] ≦ k-1C2 (k-1)(k-2)

等を使いました。例えば二式目は括弧の中の項の数をk-1C2で数えて、その中の最大項(k-1)(k-2)で評価した方が大きいということです。最期の不等号はn≧kの事実を使いました。



*************** 公式(B) ****************
Σk=1,n k-1Ci/(k-1)!
= Σk=1,n (k-1)(k-2)....(k-i)/(i!(k-1)!)
= Σk=i+1,n (k-1)(k-2)....(k-i)/(i!(k-1)!)
= (1/i!) Σk=i+1,n 1/(k-i-1)!
= (1/i!) en-i-1

2行目から3行目は、k-1 < i なら k-1Ci=0 という事を意味しています。


*************** 公式(C) ****************
(A), (B)の二つの公式を使えば

Σk=0,n(1-1/n)(1-2/n).....(1-[k-1]/n)/k! > en(1-en/n)

が得られる。導出は以下参照(enは1/0!から始まる事に注意)。

Σk=0,n(1-1/n)(1-2/n).....(1-[k-1]/n)/k!
=1 + Σk=1,n(1-1/n)(1-2/n).....(1-[k-1]/n)/k!
> 1 + Σk=1,n 1/k! -(1/n)Σk=1,n[k-1C1 + k-1C2 + k-1C3 +... + k-1Ck-1]/(k-1)!
= en -(1/n)[ en-2/1! + en-3/2!+.....+e0/(n-2)! ]
> en - (en/n)[ 1/0! + 1/1! + 1/2!+.....+1/(n-1)!+1/n! ]
= en(1-en/n)

コメント

編集完了

Tyashさんの指摘を考慮して一文付け加えました。
最初の、間違い部分の指摘ですが、2行目の式自体が間違っていて、3行目は正しい結果という理解になりました。よって2行目を修正しました(3行目はそのまま)。

有難うございます

Tyashさんコメントと、間違いの指摘有難うございます(最初の件は指摘の通り、たぶん、書き間違えでしょうね)。 時間が経つと自分が書いたことでも式変改の意図を直ぐ理解できない事もあります。 Tyashさんの第二の提案もじっくり検討しますので、もう少しお待ちを。 

有難うございました。

(1+1/n)^nを下から評価する式を探してここにたどり着きました。

大変参考になりました。有難うございます。

何度も検算してみたのですが、公式(B)の

Σk=1,n k-1Ci/(k-1)!
= Σk=1,n (k-1)(k-2)....(k-i-1)/(i!(k-1)!)
= Σk=i+1,n (k-1)(k-2)....(k-i)/(i!(k-1)!)

における第3式は

= Σk=i+1,n (k-1)(k-2)....(k-i-1)/(i!(k-1)!)

の表記ミスでしょうか?

あと、式変形に関してなのですが、

Σk=1,n k-1Ci/(k-1)!
= Σk=i+1,n k-1Ci/(k-1)! (∵k-1<iならば k-1Ci=0 )
= Σk=i+1,n (k-1)(k-2)....(k-i-1)/(i!(k-1)!)

とした方が個人的には理解し易かった気がします。

参考にさせて戴いた身で大変失礼しました。

砂漠というのは例えがわるかったかも

”砂漠”という言葉をつかったのはちょっと意図と違うように取られたかもしれないと思い、多少いいわけさせてください ^^;

数学の本はなかなか難しいです。普通の人なら理解するのにかなりの根気と時間を必要とすると思います。 それである程度の知識や経験がないとまるで砂漠に見えてしまうかもしれないけど、本当はもっと楽しい世界なんだ。ほら、砂漠にだって生物はいるし、オアシスだってあるじゃないか。ぼ~っと眺めていただけじゃ分らないけど、そこには楽しい世界が広がっているんだよ。

という感じで、ポジティブに書きたかったんです。
分ってくれているとは思いますが、そういった意図です。 今後もよろしくお願いします。

P.S. 最近冷えてきました。風邪など引かないように...

お久しぶりです。

ご紹介ありがとうございます(照)

数学の本は砂漠が多いのは事実な気がしてしまう猫顔です。

数学専攻なのにお恥ずかしい話ですが・・・

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