2017-10

目次

≪ ニュートリノ その2 ALL 論理的思考を試される。三平方の定理の場合 ≫

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二準位系 その4

二準位系のその4、最終回です。実は長々と二準位系を調べてきたのはニュートリノ振動に関する記事を書くためだった。友人から「量子力学くらいの知識を前提にニュートリノ振動について説明して欲しい」と頼まれたことがある。ネット検索してみると観測に関する記事が意外と多い。しかし、理論的解説となると、痒いところに手がとどくような記事がなかなかない(主観です)。
そこで量子力学とニュートリノに関する多少の記事を添えてニュートリノ振動に関する記事をかいてみたいと思ったわけだ。ニュートリノが3種類あるということは「ニュートリノその2」で記事したが、ここでは問題を簡単化して2種類のニュートリノνe,νμだけを考えよう。

先ず簡単にニュートリノに対するシュレディンガー方程式について説明する。素粒子の理論によれば、二種類のニュートリノは極稀にνeからνμへと変化する。つまりニュートリノに対するハミルトニアンはΔ≡<νe|H|νμ>を持つことを意味する。ここで強調しておきたいことがある、

ニュートリノは生成された時点ではνeνμのどちらかである。

それはニュートリノとペアーで生成された粒子がeμ粒子かで決まっている。けっしてそれらの重ねあわせではないので注意しておきた。しかし時間がたてば、νeからνμ、そしてνμからνeへと変化する、これをニュートリノ振動という。そこで我々はe>μ>を二準位系の基底として行列ハミルトニアンを構成する。行列ハミルトニアンの各成分は素粒子の理論によってきまっている。ここではニュートリノ振動の測定からハミルトニアンのパラメーターを決定する方法を見ていこう。既に何度もみただろうが、ハミルトニアンは

H=
(1+ε,  Δ)
( Δ,  1-ε)

だった。これにに関しては調べつくしてある。初期状態Φ(0)から時間発展した時刻tにおける行列波動関数Φ(t)=(<νμ|Ψ(t)>, <νe|Ψ(t)>)

Φ(t)=U.T.U.Φ(0)

であった。ここで第一成分はμニュートリノ、第二成分は電子ニュートリノ状態である。ここで先程の注意を読みかえして欲しい、「生成された時点ではニュートリノはνeνμのどちらか決まっている」。つまりニュートリノ振動の実験では初期状態はνeνμかをあらかじめ知っているわけだ。以下では電子ニュートリノを生成したとして、その後どのように時間発展していくのかを調べてみよう。初期条件は

Φ(0)=(0, 1)≡δie

ここでδはクロネッカのデルタで添え字のeは本来と書くべきだが、2成分がνeであったことを覚えておくためにeと書いた。この初期状態から時間発展した波動関数は

Φa(t)=ΣijUaiTijU*jeiUaie-iλitU*ieiUaiU*iee-iEit


と求まる。ここでaは第一、又は第二成分をとる。λ1,2は2準位系の固有値、つまりニュートリノの持つエネルギーである。
λ1=1+α=E1  , λ2=1-α=E2


さて数学的には単純なことだが、物理的には次のことが大事だ。振動実験ではエネルギーの差ΔE≡E2-E1が測れるのであって、エネルギーE1,2は測定できない。なぜなら確率は波動関数の二乗だから、

Φa(t)=e-iE1tΣiUaiU*iee-iΔEit ~ ΣiUaiU*iee-iΔEit

ΔE2≡E2-E1≡ΔE
ΔE1≡E1-E1=0

全体にかかる因子e-iE1tは二乗するときえてしまうのだ。だから振動実験ではエネルギーの差を決定するわけだ(補足1)。この表式を二乗して電子ニュートリノが時間がたっても電子ニュートリノである確率、そしてμニュートリノに変化する確立を計算すると


P(νe→νe)=1-Sin[2θ]2Sin[tΔE/2]2

P(νe→νμ)=Sin[2θ]2Sin[tΔE/2]2

となるわけだ。さて、ここで現れたエネルギーとはなんだろう。エネルギー固有値はE1,2の二つある。これはνe,μが混ざりあいできる重ね合わせ状態のエネルギーだ。重ね合わせをすれば定常状態になるのだった。素粒子の理論によれば定常状態のエネルギーはEinsteinの関係式で与えられる粒子が存在する。つまり


Ei=√mi2c4+p2c2 ~ pc + (1/2) mi2c2/p+......

ΔE~Δm2c2/(2p)

ここで出てくるm1,2がニュートリノの質量である。しかし、これをme,μとは書きたくない、これはe,μの混合状態だからだ(補足2)。

結局確率P(νe→νe,μ)はニュートリノ質量の差を測るということだ。


P(νe→νe)=1-Sin[2θ]2Sin[tΔm2/(4p)]       (c=1)


この表式は静止ニュートリノに対する振動確率の式である。実験の状況を考えると、振動確率をみるためには実験室では不可能なことがわかる。ニュートリノは何でもかんでもすり抜けてしまうのだった。よってニュートリノ振動実験は生成ビームつくり、そのビームが飛んでいく先にニュートリノ検出器をおいておくのだ。生成ビームとしてνeを用意しておいて、飛んでいった先でνeか、それともνμに変化しているのかを見る。ニュートリノビームの運動量はしっているものとして、以下のようなパラメーターを定義する。

Δm2/(4p)=π/L
ct=x

実験でつかうニュートリノの速度は殆んど光速v=cだということを考慮するとxはニュートリノの飛行距離、つまり生成ビームとニュートリノ検出器の距離である。Lはニュートリノ振動が一回おこる長さである。振動確率は

P(νe→νe)=1-Sin[2θ]2Sin[xπ/L]2

と書ける。もしもニュートリノの質量差Δmが非常に小さいとするとLが非常にながくなる。振動をみるためには検出器を遥かかなたに用意しておかなければならないことを意味する。ニュートリノ振動を見るためには、遠く離れた場所に実験装置を用意しなければならないのだ。そんなわけでニュートリノ振動の全ての実験が地球規模の実験や、遠く離れた実験設備を使う実験になるというわけだ。

最後に、この記事、ちょっとは誰かの理解に役立ったのだろうか?


補足1:以前の計算では問題を簡単化したため固有値がλ=1±αΔλ=2αだった。つまりαからλそのものが決まってしまう。もっと一般的にやるとλ=a±αとなり、波動関数の二乗をとるとエネルギーそのものきまらず、λ21だけ実験から決定できることになる。)ここで大事な事は行列Uθだけを含んでいて、電子ニュートリノとμニュートリノの混ざり具合を決めるパラメーターだ。

補足2:軽い方をmeとすればいいという意見もあるだろうが、混乱を招く。e,μはペアーで出てきた電子やμ粒子をみて決めるのだった。そして、時間がたてばνeも,νμも混ざってくるのだ、そうした混ざり合いでできたニュートリノの重い方をここではν2,軽い方をν1とよぶ。


コメント

大変、役にたちました。

Hを、エルミート演算子+反エルミート演算子の和で、表すことを、
考えています。
もし、それから出てくる運動量の期待値が、複素数なら、
ニュートリノの速度が、cを越えることが、可能
と思っています。
尚、反エルミート行列は、ユニタリー行列で対角化できますから、
Hを、こう置いても、量子力学の枠内に収まると思われます。

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