電場内の電子が持つエネルギー
電場内にある電荷eの電子が持つエネルギーについて考える。もっとも分りやすいのは高校の物理学でならうエネルギーと仕事の関係を使うものだろう。原点Oに置かれた電荷Qが作る電場は大きさが
E = Q/r2
で向きは動径方向である。電場内で電子を動かすためには力
F = e (-E)
を加えなければならない(力の向きは電場と逆。)よって電子をdrだけ動かすためには
dW = dr×F = -e E dr
の仕事をしなければならない。
無限遠点r=∞からrまで電子を運んでくるためには
W = -e∫∞→r dr E = eQ/r ≡ e φ(r)
だけの仕事する必要がある。そしてこの仕事に対応した分のエネルギーはポテンシャルエネルギーφ(r)として蓄えられていると考える、これが高校物理でならう電場内の電子が持つエネルギーである。因みにベクトル記号を使ってやると次の関係が分る
E(x) = -∇φ(x) (後で使うので覚えて欲しい公式)
さてここで問題だが、二つの位置に電荷が配置された状況だけを見ると一体どの電荷が無限遠点から運ばれてどの電荷がその時の力を与えるポテンシャルを作っているのか分らなくなる。つまり試験電荷自身も電場を作っているわけなので混乱が生じてしまうわけだ(考えれば分る事だがこれはどちらの場合も二電荷の相互作用によるエネルギーとしては答えは一緒になる、つまりe φQ(x)=Q φe(x))。またエネルギーは一体どこにあるのだろうという事も気になる。エネルギーは電子が持っているのかそれとも電場に蓄えられているのだろうかという疑問である。

(図は二つの電荷が作るポテンシャルの和。特に必要ないが、図がないと寂しいという理由だけで付け加えてみた。)
これらの問題に対して色々と手探りで考えるのは迷宮に入ってしまうかもしれない。ここでは前回やった電場と電荷をあわせた系のハミルトニアンが答えを持っているはずだいう方針で調べてみる。
さて、前回やった電磁場が持つエネルギーの表式(エネルギーをHで、電場をEと表す)を思い出してみよう。
H = ∫dx 1/2(E.E + B.B)
これは電磁場と点電荷の持つ電気的なエネルギーを合わせたものだった。電荷に関係した項が存在しないために一見分りにくいが、電荷の作るポテンシャルエネルギーの効果が隠れている。この事を見てみよう。簡単のためにB=0として静電場問題を考える。
H = ∫dx 1/2 E.E
ここで二つの電荷q, Qが位置rq, rQの存在する場合を考える(上の図はその時のポテンシャルの例)。すると電場は
E(x) = Eex(x) + Eq(x) + EQ(x)
= Eex(x) + (-∇)[ φq(x) + φQ(x) ]
と書ける。二つの電荷が作る電場はポテンシャルと電場の関係Eq, Q=-∇φq, Qを使って表した。第一項目のEexは外から与えた電場で二つの電荷以外の効果によって作られたものだ。但しここでは∇.Eex=0としよう(補足)。
H = ∫dx 1/2 E.E
= ∫dx 1/2 [ Eex + Eq + EQ ]2
= ∫dx 1/2 Eex2 + ∫dx Eex[ Eq + EQ] + ∫dx 1/2 [ Eq + EQ]2
= Hex + Hex , q+Q + Hq+Q
ここで
Hex = ∫dx 1/2 Eex2
は外部電場が空間領域xに持ち込んだエネルギーである。また発散がゼロの外部電場(∇.Eex =0)と電荷q, Q の混ざった項は次のようにすればゼロになる事が分る。
Hex, q Q =∫dx Eex[ Eq + EQ]
=∫dx Eex (-∇).[ φq + φQ]
=∫dx (∇.E)ex [ φq + φQ] + ゼロとなる部分積分の表面項
= 0
二行目から三行目にいくときに部分積分を使い、積分領域の表面では電場Eex=0と仮定した。最後の変形では∇.Eex = 0 を使った。最後の電荷q,とQの持つエネルギーは
Hq+Q = ∫dx 1/2 [ Eq(x)+EQ(x) ] (-∇)[ φq(x) + φQ(x)]
= ∫dx 1/2 ∇.[ Eq(x) + EQ(x)] [ φq(x) + φQ(x)]
= ∫dx 1/2 [ q δ(x-re) + Q δ(x-rQ) ] [ φq(x) + φQ(x) ]
ここで電場Eの発散は電荷密度になるというガウスの法則 ∇.E = ρ(x)を使った。そして電荷qとQは位置rq、rQ=0に存在するとすると電荷密度はその二つの電荷密度の和 q δ(x-rq) + Q δ(x-rQ)である。点電荷の密度はデルタ関数で表される事を使った。さてφq, Q(x)は電荷qとQが位置xに作るクーロン・ポテンシャルなので
φq(x) + φQ = e/|x-re| + Q/|x-rQ|
と書ける。すると
Hq, Q = ∫dx 1/2 [ q δ(x-re) + Q δ(x-rQ) ] × [ q/|x-rq| + Q/|x-rQ| ]
= (1/2) q2/|rq - rq| + (1/2) Q2/| rQ - rQ | + q Q/| rq - rQ |
最後の項は電荷Qが原点にある場合にqをrqまで運ぶ仕事とに等しい。問題は最初と二番目の項である。単純に考えるとこれは電子が自分の作るクーロンポテンシャルを感じている効果で二項目は位置rQ置かれた電荷Qが自分のポテシャルを感じている効果だといえる。問題はこれらが無限大になっていることだ。この問題は自己エネルギーの発散問題呼ばれ古典電磁気学のおける大問題として知られている。次回以降これについてじっくり調べてゆく。
最後に「ポテンシャルエネルギーはどこに蓄えられているか」を考える。私なりの解釈では
q φ(rQ) → ∫dx (1/2)E(x)2
の関係式を頼りにして、ポテンシャルエネルギーは電磁場のエネルギーとして空間に蓄えられているというものだ。しかし電荷にはクーロン場が付き物なのではこれらは切っても切れない縁にある。そういった意味では唯の解釈問題なのかもしれない。それよりも気になるのは電磁場のエネルギーを変形してゆくと自己エネルギー の効果
∫dx (1/2)E(x)2 〜∫ q2/| rq -rq | = ∞
もでて来てしまう事だ。これはどうも空間に蓄えられたものではなく、電荷q自身が担うエネルギーのように見える。ただ発散しているので解釈以前にこの表式にどれだけの意味があるか不明である。
さてこの発散が現実問題に何か影響を与えだろうかという方は重要だろう。ざっと考えたところこの自己エネルギー発散は電磁気学の範囲内では何も問題なさそうである。例えば自己エネルギーの項は無視しても、この分は何か別のエネルギーに転化されることはないから問題にならないと思われる。エネルギーの原点に意味がないから好きなだけずらしても良いだろう。ただやはり気持ちが悪いというのはあるのだが・・・。
(補足)電場は全て元を正せば電荷が作ったものであるが、ここではEexはある時刻tに作られた電場が領域xに電波として飛んできたという状況を考えている。よって電場Eexの元になった電荷は領域x内になくても問題ない。そのような状況では ∇.Eex(x) = 0 である。
E = Q/r2
で向きは動径方向である。電場内で電子を動かすためには力
F = e (-E)
を加えなければならない(力の向きは電場と逆。)よって電子をdrだけ動かすためには
dW = dr×F = -e E dr
の仕事をしなければならない。
無限遠点r=∞からrまで電子を運んでくるためには
W = -e∫∞→r dr E = eQ/r ≡ e φ(r)
だけの仕事する必要がある。そしてこの仕事に対応した分のエネルギーはポテンシャルエネルギーφ(r)として蓄えられていると考える、これが高校物理でならう電場内の電子が持つエネルギーである。因みにベクトル記号を使ってやると次の関係が分る
E(x) = -∇φ(x) (後で使うので覚えて欲しい公式)
さてここで問題だが、二つの位置に電荷が配置された状況だけを見ると一体どの電荷が無限遠点から運ばれてどの電荷がその時の力を与えるポテンシャルを作っているのか分らなくなる。つまり試験電荷自身も電場を作っているわけなので混乱が生じてしまうわけだ(考えれば分る事だがこれはどちらの場合も二電荷の相互作用によるエネルギーとしては答えは一緒になる、つまりe φQ(x)=Q φe(x))。またエネルギーは一体どこにあるのだろうという事も気になる。エネルギーは電子が持っているのかそれとも電場に蓄えられているのだろうかという疑問である。

(図は二つの電荷が作るポテンシャルの和。特に必要ないが、図がないと寂しいという理由だけで付け加えてみた。)
これらの問題に対して色々と手探りで考えるのは迷宮に入ってしまうかもしれない。ここでは前回やった電場と電荷をあわせた系のハミルトニアンが答えを持っているはずだいう方針で調べてみる。
さて、前回やった電磁場が持つエネルギーの表式(エネルギーをHで、電場をEと表す)を思い出してみよう。
H = ∫dx 1/2(E.E + B.B)
これは電磁場と点電荷の持つ電気的なエネルギーを合わせたものだった。電荷に関係した項が存在しないために一見分りにくいが、電荷の作るポテンシャルエネルギーの効果が隠れている。この事を見てみよう。簡単のためにB=0として静電場問題を考える。
H = ∫dx 1/2 E.E
ここで二つの電荷q, Qが位置rq, rQの存在する場合を考える(上の図はその時のポテンシャルの例)。すると電場は
E(x) = Eex(x) + Eq(x) + EQ(x)
= Eex(x) + (-∇)[ φq(x) + φQ(x) ]
と書ける。二つの電荷が作る電場はポテンシャルと電場の関係Eq, Q=-∇φq, Qを使って表した。第一項目のEexは外から与えた電場で二つの電荷以外の効果によって作られたものだ。但しここでは∇.Eex=0としよう(補足)。
H = ∫dx 1/2 E.E
= ∫dx 1/2 [ Eex + Eq + EQ ]2
= ∫dx 1/2 Eex2 + ∫dx Eex[ Eq + EQ] + ∫dx 1/2 [ Eq + EQ]2
= Hex + Hex , q+Q + Hq+Q
ここで
Hex = ∫dx 1/2 Eex2
は外部電場が空間領域xに持ち込んだエネルギーである。また発散がゼロの外部電場(∇.Eex =0)と電荷q, Q の混ざった項は次のようにすればゼロになる事が分る。
Hex, q Q =∫dx Eex[ Eq + EQ]
=∫dx Eex (-∇).[ φq + φQ]
=∫dx (∇.E)ex [ φq + φQ] + ゼロとなる部分積分の表面項
= 0
二行目から三行目にいくときに部分積分を使い、積分領域の表面では電場Eex=0と仮定した。最後の変形では∇.Eex = 0 を使った。最後の電荷q,とQの持つエネルギーは
Hq+Q = ∫dx 1/2 [ Eq(x)+EQ(x) ] (-∇)[ φq(x) + φQ(x)]
= ∫dx 1/2 ∇.[ Eq(x) + EQ(x)] [ φq(x) + φQ(x)]
= ∫dx 1/2 [ q δ(x-re) + Q δ(x-rQ) ] [ φq(x) + φQ(x) ]
ここで電場Eの発散は電荷密度になるというガウスの法則 ∇.E = ρ(x)を使った。そして電荷qとQは位置rq、rQ=0に存在するとすると電荷密度はその二つの電荷密度の和 q δ(x-rq) + Q δ(x-rQ)である。点電荷の密度はデルタ関数で表される事を使った。さてφq, Q(x)は電荷qとQが位置xに作るクーロン・ポテンシャルなので
φq(x) + φQ = e/|x-re| + Q/|x-rQ|
と書ける。すると
Hq, Q = ∫dx 1/2 [ q δ(x-re) + Q δ(x-rQ) ] × [ q/|x-rq| + Q/|x-rQ| ]
= (1/2) q2/|rq - rq| + (1/2) Q2/| rQ - rQ | + q Q/| rq - rQ |
最後の項は電荷Qが原点にある場合にqをrqまで運ぶ仕事とに等しい。問題は最初と二番目の項である。単純に考えるとこれは電子が自分の作るクーロンポテンシャルを感じている効果で二項目は位置rQ置かれた電荷Qが自分のポテシャルを感じている効果だといえる。問題はこれらが無限大になっていることだ。この問題は自己エネルギーの発散問題呼ばれ古典電磁気学のおける大問題として知られている。次回以降これについてじっくり調べてゆく。
最後に「ポテンシャルエネルギーはどこに蓄えられているか」を考える。私なりの解釈では
q φ(rQ) → ∫dx (1/2)E(x)2
の関係式を頼りにして、ポテンシャルエネルギーは電磁場のエネルギーとして空間に蓄えられているというものだ。しかし電荷にはクーロン場が付き物なのではこれらは切っても切れない縁にある。そういった意味では唯の解釈問題なのかもしれない。それよりも気になるのは電磁場のエネルギーを変形してゆくと自己エネルギー の効果
∫dx (1/2)E(x)2 〜∫ q2/| rq -rq | = ∞
もでて来てしまう事だ。これはどうも空間に蓄えられたものではなく、電荷q自身が担うエネルギーのように見える。ただ発散しているので解釈以前にこの表式にどれだけの意味があるか不明である。
さてこの発散が現実問題に何か影響を与えだろうかという方は重要だろう。ざっと考えたところこの自己エネルギー発散は電磁気学の範囲内では何も問題なさそうである。例えば自己エネルギーの項は無視しても、この分は何か別のエネルギーに転化されることはないから問題にならないと思われる。エネルギーの原点に意味がないから好きなだけずらしても良いだろう。ただやはり気持ちが悪いというのはあるのだが・・・。
(補足)電場は全て元を正せば電荷が作ったものであるが、ここではEexはある時刻tに作られた電場が領域xに電波として飛んできたという状況を考えている。よって電場Eexの元になった電荷は領域x内になくても問題ない。そのような状況では ∇.Eex(x) = 0 である。
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