2017-10

目次

≪ 電子の自己エネルギー 1 ALL 塩でもくっとけ! ≫

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

電子の自己エネルギー 2 (繰り込み理論)

電子の自己エネルギーは電子が大きさのある塊だとすれば値が計算でき、アインシュタインの質量とエネルギーの関係式を使えば電子半径が決る。これは発散を回避する一つの方法だが実験との比較からうまくいかないとして廃れていった。次に登場したのは繰り込み理論と呼ばれる方法である。この理論の構築には日本人も大いに貢献して、その業績が認められ朝永振一郎博士はノーベル賞をもらった。日本人として大いに誇らしい出来事である。

この理論はある種の発想の転換であった。発散など実は見かけ上の問題であって計算を最後までやれば消えてしまうのだと考える。謎。具体的には発散しているように見える項を含めて電子の質量として再定義することで発散を数式から消してしまう事ができる。実際は消したというより隠してしまったという方が分りやすい。しかしどちらにせよ見えないのなら存在しないも同然......、これはまるで禅問答だろうか? 今回はこのことについて少し説明しようと思う。いや煙に巻くだけかもしれない。(前もって言っておくと、この記事は突っ込みどころ満載だ。) 先ず電子が一個空間に存在している場合を考える。下の図を見て欲しい。確かに電子が一個描いてある、そして電子の周りに黄色い雲のようなものがある。これは電子があることによってできるクーロンポテンシャルである。

kukukukukari


さて前回計算した大きさを持った電子の自己エネルギーは

E自己 = e2/a

であった(係数は無視した)。前回はアインシュタインの関係式を頼りに、これが電子の質量だろうという議論をした。しかしそういった議論をすると古典電子半径 a= 10-15[m]という値がでてきて大きすぎる。現代では電子の大きさはゼロから、あったとしても10-20[m]よりは小さいということらしい。これは困った。aをあまり小さくすると今度は自己エネルギーが大きくなりすぎる。

発想の転換をしよう......

そうだ、電子の周りにクーロンポテンシャルがない場合から考えてみよう!コロンブスの卵かな。普通は電子は電荷を持っているからいつでもどこでもクーロンポテンシャルがついてまわると考えるのが、常識では超えられない壁があるときには非常識も必要だろう。そこで電子だけしかない状況を考えるみよう。そのイメージが下の図。
kekekekekekkari


この場合の電子のエネルギーはアインシュタインの関係式から

E = Mc2

と書けるだろう。このような状況をクーロンポテンシャルという服を脱がされた電子という意味で裸の電子と呼ぶ。クーロンポテンシャルがない場合にだって質量はあるだろう。そのときの質量は裸の質量と呼ばれるそうだ(電子が女性である事を祈ろう)。だがこの質量は我々が測定する事ができないものだ。やはり我々の世界では電子は常にクーロンポテンシャルがついてまわる。すると測定する事ができるのは裸の質量エネルギーと自己エネルギーの和 E = E + (3/5a) e2/(4πε) だろう。これが実験で決る電子の質量me = 9.109389 x 10-31 [kg] ではないだろうか。式にすると

Mc2 + (3/5a) e2/(4πε) = 9.109389 x 10-31 [kg] ×c2 

だろう。クーロンポテンシャルから来るエネルギーだけではうまくいかなかったが、新しい効果「裸の質量」を導入して何か問題が解決しないだろうかと淡い期待を抱く。さて、この式を裸の質量に対して解くと

M = 9.109389 x 10-31 [kg]- (3/5a) e2/(4πεc2)

となる。項を右から左に移動したりしているうちに裸の質量を求める事ができた。つまり電子の大きさが分れば裸の質量が決定される。仮に電子の大きさが10-20[m]だとすると

M ~ 9.1 10-31 - 1.5×10-25  ~ -1.5×1025[kg]

となる。第一項は10-31がかかっているのでこの式において殆ど意味がない。第二項の方が断然大きいのである。それで裸の質量はどうも負になるらしい。aを小さくしつつ電子の質量を説明しようとしたら自己エネルギーから来る効果を差し引く負の項が必要になるというわけだ。とはいっても質量が負になるという話は聞いた事がない。うまいアイディアだと思ったがどうもこれはおかしい。もしかしたら電子の質量さえ正しくでれば、測定できない裸の質量なんて問題にならないかも知れない。という思いもあるが....やっぱり気持ち悪い。いくら気休め(?)を言ってみたところでこれは病的な理論だという感は拭えない。この問題の進展はワイスコップの出現をまつ事になる。 というわけで次回はワイスコップの理論の解説となる。


物理学科なら一度は聞いたことがあるだろう繰り込み理論だがネット上で解説を見つけるのは至難の技。あまり参考になりませんがwikipediaの解説。やっぱり本格的に本をかって読むしかないでしょう。この手の難しい話になると原書の本を探す事になると思いますが

ゲージ理論入門 I.K.R.エイチスン、A.J.Gヘイ著(藤井昭彦訳)講談社

が日本語で読める分りやすい本だと思います。ただし内容はやっぱり相当に高度です。

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://letsphysics.blog17.fc2.com/tb.php/246-db27ccce

«  | HOME |  »

CATEGORIES

RECENT ENTRIES

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

APPENDIX

アトム 

アトム 

趣味   近所散策と物理

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。