2017-03

目次

≪ ベルンシュタインの多項式 1 ALL ベルンシュタインの多項式 2 ≫

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

調和振動子 その2

調和振動子のシュレディンガー方程式

[ -(h2/2m)d2/dx2 + (m/2)w2 x2 ] Ψ = E Ψ   .............(1)

を考える(補足1)。問題を簡単にするために以下のように変数をまとめると便利である。

x = (h/mw)1/2 x
E = h w e .............(2)

この変数を使うとシュレディンガー方程式(エネルギーは左辺へ移行した)は

[ -d2/dz2 + z2 - 2ε] Ψ = 0 ...........(3)
となる(補足2)。さてこの微分方程式を解くわけであるが、答えを知っている読者なら「調和振動子の解はエルミート多項式である。よって....」などという説明も受け入れてくれるだろうがあいにく私は公式集など手元にないために全てを自分で導く事にする。また私は微分方程式を解く一般論なども既に忘れているので高度な数学は使わない。つまりここでは物理的な直感を使ったいたって初等的な方法でいく。


我々が欲しい答えは規格化ができる波動関数である。つまり無限遠点での振舞いは Ψ(∞)→0 となる。勿論それらの有限回の微係数も全てゼロになる、(d/dz)n Ψ(∞) → 0。シュレディンガー方程式のz→∞での振る舞いを考えてみよう。ポテンシャルの項はz2であるからエネルギーの項2εに比べて非常に大きくなる。よってシュレディンガー方程式が成立するためには

Limz→∞[ -d2/dz2 + z2 ] Ψ(z) = 0  ..........(4)

と考えられる。この式を満たすためにはΨ(z)~exp(-z2/2)と振舞う必要がある( 数学的にはexp(z2/2)でも良いがこれだと波動関数の規格化がなされない)。よって解は

Ψ(z) = exp(-z2/2) F(z) ........(5)

という形を持つだろう。この解の形をシュレディンガー方程式に代入しexp(-z2/2)などをまとめて整理すると

exp(-z2/2) [ -F ''(z) + 2z F '(z) + (1-2ε)F(z) ] =0 ...........(6)

となる。 今度はz→0での振舞いを調べて見よう。z=0付近ではF(z)はテイラー展開で表現されて

F(z) = F(0) + F '(0) z + F'' (0) z2/2! + .....

となる(テイラー展開がzのゼロ乗から始まるというのはポテンシャルがz=0で正則だからできることである)。テイラー展開の係数を全て決めてやればF(z)が分った事になる。よってこれを

F(z) = Σn=0→∞ cn zn ........(7)

とおいてcnを決定する。これを(6)式に代入して

0=Σn=0→∞[- n(n-1)cnzn-2 + 2 n cnzn + (1-2ε)cn zn ]
n=0→∞ zn [-(n+2)(n+1) cn+2 + (2 n + 1-2ε) cn ]

二行目ではzの冪をそろえるためにnの値をずらしてΣn=0→∞n(n-1)cnzn-2 = Σn=0→∞(n+2)(n+1)cn+2znを使った。さてこの式がゼロになるためには各zの冪がゼロになる必要がある。つまり

[-(n+2)(n+1) cn+2 + (2 n + 1-2ε) cn ]=0

⇒ cn+2 = (2n+1-2ε)/[(n+2)(n+1)]cn

となる。二つのことが分る。

(1)シュレディンガー方程式はcnはn=偶数の係数間の関係式、又は奇数係数間の関係式を与える。
(2)nが大きくなると cn+2 ~ (2/n)cn と振舞う。



偶数係数だけの場合を考えてみよう。(2)のことから言えるのは

c2n ~ (1/n)c2(n-1) ~ 1/[n(n-1)] c2(n-2).... ~  1/n! c0

F(z)~ Σn c2nz2n= Σ (z2)n/(n)! = exp(z2)

となってこれはΨ(z)=exp(-z2/2)F(z)~exp(z2/2)を意味する。つまり




    F(z)=Σcnznはシュレディンガー方程式からの制限 cn+2 = (2n+1-2ε)/[(n+2)(n+1)]cn
    を満たすだけでは規格化できない。


これはF(z)のテイラー展開の各項がn=∞まで足しあがった時に起こるわけである。しかしcnはシュレディンガー方程式でcn-2と関係がついているし、cn-2はcn-4と関係がついているので、nを無限まで足したくないといっても勝手に和を特定のnで止めてしまうわけにはいかない。そこで考えられる解決策は特定のn以上の係数cnはゼロになってしまうということだ。つまり関係式

cn+2 = (2n+1-2ε)/[(n+2)(n+1)]cn

で 2n+1-2ε=0となれば良い。これは





    ε = 1/2 + n ⇒ E = hw(1/2 + n) , (n=0, 1, 2,…)

とエネルギーが整数nできまるトビトビの値しかとりえないというエネルギーの量子化条件が存在しなければならない事を意味する。



ε=1/2+nとすることにして係数のした添え字をkを使って表すと

ck+2 = -2(n-k)/[(k+2)(k+1)]ck

kが偶数と奇数場合に分けて考えるとこの関係式は

c2k = (-2)kn!!/[(2k)!(n-2k)!!]
c2k+1=(-2)k(n-1)!!/[(2k+1)!(n-2k-1)!!]

となる。これはエルミートの多項式を使って表せば

Ψn (x) = exp(-z2/2) Hn(z) = exp(-(h/2mw) x2) Hn((h/mw)1/2x)

と書ける。特に一般的な答えに興味がない場合には具体的にやればよい。単純に上の関係式にnを代入し、n以上の係数は全てゼロになることに注意してエネルギーの低い方から求めればよい。ゼロにならない係数だけ書くと

n=0;  c0 (波動関数の規格化によって決る係数)
n=1;  c1 (波動関数の規格化によって決る係数)
n=2;  c2=-2c0

と求まる。波動関数は

Ψn=0(z) = c0exp(-z2/2)
Ψn=1(z) = c1 z exp(-z2/2)
Ψn=0(z) = c0[1-2x2] exp(-z2/2)

となる。各エネルギーは E= hw[1/2+n]で決っている。このように長いが特に難しいところもなく答えを導出する事ができる。特殊関数の知識があれば色んなところで役にはたつが、必須というわけでもない。大事なのは答えにたどり着くまでの論理的な流れである。次回は演算子法によるエレガントな解法。ただし、今回やった地道な方法にも大事な物理の要素が入っているので是非マスターして欲しい。




(補足1)前回は一般のポテンシャルV(x)から谷底 x= a 付近に束縛される電子の運動を考える事によって問題が調和振動子へと帰着する事をしめした。前回との対応は

x - a → x
V '' (a) →  m w2
E-V(a)  →  E

となっている。

(補足2)このように式をまとめることは実は見やすいという以上の意味がある。なぜなら微分方程式は変数xの関数であるが、次元をもった変数そのものによって関数が書かれる事はない。それらは次元を持たない変数の組み合わせで書かれるべきである。例えば

f(x)=x+x2

という関数は数学的には正しくても物理では間違いである。なぜならxが長さの次元[m]を持っているとすると

f(x)= x [m] + x2 [m2]

となって、長さと面積をたす事になりおかしい。

コメント

DjNさんへ:修正しました。

おっしゃる通りです。修正しておきました。連絡ありがとうございました。

参考になります。m(_ _)m

勉強になりました。
誤植かとは思いますが、式(2)の変換は

誤: z = (h/mw)^(1/2) x

正: z = (mw/h)^(1/2) x

ですよね?

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://letsphysics.blog17.fc2.com/tb.php/248-7036634d

«  | HOME |  »

CATEGORIES

RECENT ENTRIES

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

APPENDIX

アトム 

アトム 

趣味   近所散策と物理

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。