2017-07

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≪ ほんわか科学記事 ALL ベルヌイ多項式 ≫

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調和振動子 その3

今回は演算子法です。予定では調和振動子の問題を演算子法で解くつもりでしたが、あまりにも長い記事になったので二つにわけます。今回は演算子法に関する数学的なまとめです。 演算子法の始まりは運動量演算子pと位置演算子zから次のような生成a、消滅 a 演算子と呼ばれるものを作る事からはじまります(何故そう呼ばれるかは後で分ります)。

a = (1/√2 )(z + i p)
a = (1/√2)(z - i p) 

z=x/√(h/mw)
p=-id/dz

ここでは位置を無次元化した変数としてzを使います。zに共役な運動量をpとかいてp≡-id/dz とします。aはエルミート演算子ではありませんがaのエルミート共役がaです(補足1)。運動量演算子の前に虚数iがあることに注意してください。生成消滅演算子はzとpの交換関係[ z, p ]≡z p - p z = i を使えば次の性質を持つ事が分ります。

[ a, a ] = [ a, a ] = 0

これ当然でしょう、自分自身とは交換するという意味です(因みに自分自身と交換しない演算子というのも考える事はできて、それはフェルミオンを記述するとされています)。次にaとaの交換関係です。少し長くなりますが練習のために具体的にやってみます

[ a, a ]
= [(1/√2)(z + i p), (1/√2)(z - i p) ]
= 1/(2) [(z + i p), (z-ip)]
= 1/(2) ( [z,z] + [ip,-ip] + [z, -ip] + [ip, z] )
= 1/(2) ( 0 + 0 + (-i) [ z , p] + i [p, z] )
= 1/(2) ( 0 + 0 + (-i)(i) + i (-i) )
= 1

iや数は交換関係の括弧の外にくくり出してもよい事、また[ A, B+C ] = [A, B] + [A, C] や[A+B, C] =[A, C] +[B, C]を使いました。[a, a]は勿論

[a, a] = (-1) [a, a ] = -1

です。生成消滅演算子は交換関係が1になるという面白い性質を持っています。もう一つ新しい演算子を定義しておきます。これは個数演算子と呼ばれて

N≡aa

と定義されます。何故個数演算子か?それはNが演算子aの個数を数えるという性質を持つ事からきます。

[ N, (a)n] = n (a)n

証明は帰納法で簡単にできます。計算に慣れるためにやってみます。先ずn=1の場合を具体的に示します。

[N, a] = [aa, a] = (aa) a - a (a a)
=a(a a) - a a a
=a(aa + 1) - a a a
=a   .....(n=1の場合)

分りやすくするために括弧をつけてありますが、演算子の掛け算は順序にはよりません。また交換関係[a, a] = 1 より a a = aa + 1の関係を3行目の変形で使いました。
n=1の場合は正しい事がわかります。それではnの場合を考えます。生成演算子のn乗をn-1乗とaの掛け算とに分けて

[N, (a)n]
=[N, a (a)n-1]
=[N, a](a)n-1 + a[N, (a)n-1]
=a(a)n-1 + a[N, (a)n-1]

となります。ここで[A, B C]=[A,B] C + B [A, C] という公式を知っておくと便利です。さて数学的帰納法ではn-1の場合正しいと仮定しnの場合がどうなるか調べるのですから上式は

[N, (a)n] =a(a)n-1 + a[N, (a)n-1]
⇒ a(a)n-1 + a (n-1)(a)n-1
=(a)n + (n-1)(a)n
=n (a)n .......(n-1をうまくいくと仮定した時のnの場合)

既にn=1の場合は証明しました。これでn=2以上はドミノ倒しのように証明されてゆきます。数学的帰納法おわり。ちょっとまとめてみます。




    << a, aの性質>>
   
  [ a, a ] = [ a, a ] = 0 、
  [ a, a ] = 1

    ☆ N≡a a は [N, (a)n] = n (a)n という交換関係を満たす。


今のところ調和振動子と殆ど関係ない数学的な話が続いていますがもう少し続けさせてください。「Nはaの個数を数える演算子である」ということをもう少しつっこんで説明します。それは次のような状態ベクトルを考えると分りやすいくなります。先ずaが一つもかかっていない素の状態というものを考えます。これを|0> と表現しておきます、そして

N|0>≡0

と定義します。aを一回もかけてないものという意味でケットの中にゼロを記入しました。そしてNはこの何もかけてない状態に作用するとゼロになると定義します。これは定義ですから取りあえずそういうものだと思ってください。次にaを一つかけた状態を調べてみます。例えば a|0>にNをかけてみましょう。

N a |0> = (N a - aN)|0>
=[N, a] |0>
= a |0>

一行目の変形はN|0> = 0なのでゼロになる数を引いたという事です。結果は N(a|0>)= (a|0>)ですがこれはa|0>という状態はNの固有値が1であることを意味します。先程のN|0>≡0をNの固有値がゼロの状態だという意味でケットの中に0を記入しましたが、それならば

a|0> ≡|1>

とするのがよいでしょう。何故ならNの固有値が1の状態、つまり

N |1> = 1 |1> = |1>

が成立するからです。同じようにaをn回かけた状態にNを作用させてみます

N ( a)n|0> = (N(a)n- ( a)n N) |0>
=[N, ( a)n ] |0>
=n ( a)n |0>
=n ( ( a)n|0> )

三行目はNとaのn乗の交換関係を使いました。この式はaのn乗をかけた状態、( ( a)n|0> )を一つの塊と見ると、それはNの固有値がnになるようなものである事を意味します。よって

( a)n|0> ~ |n>  、 N|n>=n|n>

が分りました、ただし規格化定数はまだ決めてませんから、その意味で弱い意味のイコール「~」を使いました。ここまでやったことをまとめると

(1)a が一つもかかっていない状態|0> を考え、 N|0>≡0 と定義した。

(2)aを|0>にn回かけた状態を|n>~(a)n |0> と書くと、これは N|n>= n |n> となる事が示される。


さてこれでaがNの固有値を上げる(生成する)事が分りましたから生成演算子と呼ばれることも納得できると思います。それではaを書けたらどうなるんでしょうか? それにはNとaの交換関係を知っておく必要があります。aとaは複素共役で、更にNはエルミートである事

N=(aa)= a a†† = aa = N

を知っておく必要があります。そして [N, a] = 1 の式の複素共役をとり

( [N, a] )
= ( N a - a N )
= (a N - N a) = - [N, a]

となる事から [N, a] = -aを得ます。 これはaがNの固有値を一つ下げることを意味します。やってみましょう

N ( a |n> )
= (N a - a N + a N) |n>
=([ N, a] + a N) |n>
=[N,a]|n> + aN|n>
=-a|n> + a n|n>
=(n-1)a|n>
=(n-1)× ( a|n> )

です。つまりa|n>を一つの塊とみると、これは|n-1>と規格化定数を除いて等しい事が分ります。これがaを消滅演算子と呼ぶ理由です。この規格化定数は後々きめるとして、取りあえずcと書いておきます。そして

a|n> = c |n-1>

が分りました。


もうそろそろ限界です。長すぎて自分自身疲れてきました。明日も仕事、寝坊しては大変です。おやすみなさい。

(補足1)エルミート演算子Hはエルミート共役が自分自身に等しいものです。つまりH = H 。一般の演算子Aは A≠Aです。

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「振動」について

振動振動(しんどう)とは、状態が一意に定まらない事象をいう。周期的な挙動を繰り返す状態を指すことが多い。* 振り子など、マクロな事象に対する古典力学による記述については振動運動を参照。また、振動している物体からは音波が発生する。 熱振動など、ミクロな事象は

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