2017-08

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≪ Quantu Field Theory in a nutshell ALL 近頃のマイブーム ≫

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摂動公式の導出

量子力学の摂動論について書こうと思い2次公式の導出に挑戦して挫折した。昔は苦労だとも思わなかった計算が今ではすごく面倒なものに思える。体力の衰えを実感したがそれならば知識と経験で勝負だ。力ずくで計算したのは時間が有り余っていた学生時代、今は週末くらいしか勉強に時間を割けないのだからもっと賢くやろう。目標は摂動公式をスマートに導出する方法を得ること。できれば任意の次数の公式が直ぐに出せるようなものが欲しい。

そんなことを考えていたら直ぐに2,3時間つぶれた。楽な道はない。まあそれでも最終的に納得のいく方法が見つかった(約4時間考えたかな)。本質は昔読んだ砂川先生の「量子力学(岩波)」にあるが、私なりに工夫した箇所が多々ある。砂川先生の説明よりもクリアーになったんじゃないかと思うのはちょっと言いすぎだろうか。とにかくこれを使えば何次の摂動公式でも出せる。以下にその方法を述べる。 簡単のために表記はブラケットを使う。また議論を明確にするために縮退のない系で、基底状態に対する摂動を考える。本質ではないことは取り除き的を絞った方が説明がスッキリすると考えるからである。解きたいシュレディンガー方程式は

(E - H0 - V ) |Ψ> = 0 ........(1)

Vが摂動、H0は無摂動ハミルトニアンでそのシュレディンガー方程式は厳密に解けるとする。

H0 |n> = En(0) |n> .........(2)

|n>は厳密に解ける波動関数とする。(本来なら|n(0)>と書くほうが誤解がないが面倒なので省略する)



さて解きたいシュレディンガー方程式を摂動効果とそれ以外に分けて書く。(E = E0+δE として、エネルギーに対する摂動効果はδEに全て含まれるとする)

[ E0 - H0 ] |Ψ> = [ V - δE ] |Ψ> ..........(3)

ここで大事なのは波動関数は手を付けずにおくこと。多くのテキストでやっているように波動関数を摂動展開してばらすとたちまち複雑なことになる。 δV ≡ V - δE と書くと解くべきシュレディンガー方程式は

[ E0 - H0 ] |Ψ> = δV |Ψ> ..........(4)

である。 この式を無摂動の基底状態のケット<0|で挟むと<0|H0= E0 <0| なので左辺はゼロ、よって

<0|δV|Ψ> = 0 → δE = <0|V|Ψ>/<0|Ψ> ..........(5)

を得る。摂動の全次数のエネルギー補正が形式的に求まったことになる。(5)の右辺で|Ψ>にはVの効果が複雑に入っているだろうが、|Ψ>を摂動展開で表現すればEの1次摂動や2次摂動の公式が全てでてくる。しかしこのままにしておいた方が見通しが良い。(5)式はVがゼロになる極限でδEはゼロになる事を意味している。

さてシュレディンガー方程式(4)を解いて波動関数|Ψ>を求めよう。両辺に(E0- H0) の逆演算子をかけて

|Ψ > = |0> + 1/(E0- H0) δV |Ψ > ........(6)

を得る。ここで無摂動状態|0>は(E0 - H0)をかけるとゼロになるので付け加えた。これはVがゼロの極限で|Ψ>→|0>になる事を要請すると必要な項である(補足1)。一般的には,摂動的相互作用Vの効果によって|0>の係数が1でない場合も考えられる。しかし、エネルギーの固有関数としては波動関数の規格化因子はあまり重要でないので、ここでは|0>の係数を1として摂動公式を導出する(砂川先生の量子力学のテキストにはこのことが書いてあった)。よって、ここで使う波動関数は<Ψ|Ψ>≠1であることに注意する。望むなら規格化は摂動計算が終了した後に,別に行う方が良い。ここで新たな記号

G = 1/(E0 - H0 ) .........(7)

を導入して形式解を

|Ψ > = | 0 > + G δV |Ψ > ........(8)

と書こう。この式は重要な性質を持っている。完全系1 = Σn | n> < n| を G δV の間に挿入してみると

G Σn | n > < n | δV |Ψ>
= G |0> <0| δV |Ψ> + G Σn'>0 | n' > < n' | δV |Ψ>
=G Σn'>0 | n' > < n'| δV |Ψ > ........(9)

と完全系から無摂動状態|0> <0|が抜け落ちる事である(補足2)。摂動公式の導出ではこの条件が非常に重要である。もしも|0> <0|が残っていると<0|G|0>=∞となってこの公式が破綻してしまうからだ(補足3)。よって今後の計算は完全系の和から基底状態を常に除いておくということを前提に

G。δV ≡ G Σn'>0 |n' > < n'| δV

と書く。(8)式は

|Ψ >
= | 0 > + G。δV |Ψ >
= | 0 > + G。δV [ | 0 > + G。δV |Ψ >]
= | 0 > + G。δV| 0 > + G。δV。G。δV| 0 > + G。δV。G。δV。G。δV| 0 > + .....
  
と書けて全次数の摂動公式が得られる。更に完全系から|0> <0|を抜いたことを考慮すれば

G。δV|0> = G Σn'>0 |n' > < n'| δV |0> = G Σn'>0 |n' > < n'| V |0> = G。V |0>

が言えるので最終的な公式では|0>にかかるδVを全てVに置き換えてよい事が分る。




    |Ψ >
    = | 0 > + G。δV |Ψ >
    = | 0 > + G。V| 0 > + G。δV。G。V| 0 > + G。δV。G。δV。G。V| 0 > + .....


これで摂動の全次数の公式が求まった。|Ψ >を(5)式に代入すれば任意の次数でのエネルギー補正公式も得られるだろう。何処かで使うかも知れないからそれもやっておこう。




    δE = <0|V|Ψ>/<0|Ψ>
    =<0|V|0> + <0|V。G。V |0> + <0|V。G。δV。G。V |0>+ .....


ここで<0|G。V =0より分母の<0|Ψ>=1となった。因みにここでの議論をおっていけば任意の状態|n>に摂動を加えた場合の公式は、基底状態|0>を|n>で置き換え、GとδVの掛け算をG。δV→G.Σk≠n|k > < k|δV と変更すれば良い。ここでの表式は摂動の全ての次数を含む一般的な表式である。注意としてδV=V-δE に入っているエネルギー補正は摂動の全ての次数を含むことを忘れてはならない。この事は高次の補正を計算するにはδVのなかのエネルギー補正を摂動展開してやる必要がある(補足4)。これは波動関数の2次補正、エネルギーの3次補正から考慮しなければならないが、通常はそこまで高次の計算は必要ないだろう。



(補足1)A.x = y という式があればAを演算してゼロになるA.φ=0を付け加えて A.x = A.φ + y と見なすべきである。すると逆演算A-1を両辺にかけて x= φ + A-1.y と一般解が求まる。φは逆演算子A-1の積分定数という意味を持つ。



(補足2)厳密には1/(E0-H0)が発散してしまう事を避けるために、エネルギー固有値E0を少しだけ虚数軸にずらして

1/[ (E0+iε) - H0 ]

と定義しておくのが厳密な取り扱いだ。εは計算の最後にゼロとするパラメーター。




(補足3)摂動公式の出発点

|Ψ> = |0> + G.δV |Ψ >

では完全系は 1=|0> <0| + Σn' |n' > < n' |であったが、このままでは摂動展開ができない。なぜなら摂動展開を始めたとたん

|Ψ> = |0> + G.δV|0> + G.δV.G.δV|Ψ>

となるが、例えば二項目は

G.δV|0>
= G | 0> < 0|δV|0> + GΣn'|n' > < 'n|δV|0>
= 1/(E0 - E0 +i ε) <0|δV|0> +  GΣn'|n' > < 'n|δV|0>
=(1/iε)<0|δV|0> + ....

だがこれはε→0の極限をとると発散する。ここで<0|δV|Ψ> = 0 であって

<0|δV|0>=<0|V|0>-δE/<0|Ψ> = O(V2) ≠0

である事に注意。私はこれに気がつくまで机の前で2時間以上は唸っていた。これは摂動の次の項と同じ効果で、つまりVによる級数展開の次数を正しくならべてないことになる。




(補足)波動関数に対してδVが表れるのは2次補正からである。二次補正ではではδE=δE(1)として良く

(2)>
= G。δV。G。V|0>
= G.Σ|n' > < n'|( V-δE(1) )G Σ| k' >< k'| V | 0 >
n,k≠0 |n > (Vnk-V00δnk)Vk0/[ (E0-En)(E0-Ek)]

が得られる。

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