2017-11

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≪ 「数学的帰納法をうまく使え」の解答 ALL 「うつ病の妻と共に」 御木達哉 文春文庫 ≫

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「新版 量子論の基礎」 清水明著 (サイエンス社)

総合評価:3.5
お薦め度:3(マニア向けだと思います)
レベル :中級者以上
コメント:量子力学を一度勉強した人が整理をつけたいという場合に有効だと思います。


久しぶりに休暇をとることができて書店へ行ってゆっくりと本を選んできました。その中の一冊に清水明著の「新版 量子論の基礎」(サイエンス社:新物理学ライブラリー 別巻2)を買いました。そして午後には4時間程かけて一気に6章まで読んでしまいました。7章は場の理論、8章はベルの不等式、9章は基本変数による記述のまとめということで更に高度な内容が続くわけですが、通常の量子力学の内容としては6章で一段落という感じだと思います。以下に本の感想を書きます。




先ず最初に率直な感想として、この本、私は楽しめました。値段は2000円で専門書としてかなり安いと思いますし、私が常々疑問に思っていたことなどにも解答が与えられて、それなりに得るものがあったと思います。これが個人的な感想です。

次に一般的な感想、つまり私以外の人にこの本を紹介する場合の文章です。この本、サブタイトルに 「その本質のやさしい理解のために」と書いてありますが相当高度なことをやっていると思います。この本の目的は、量子論の基礎を最初にしっかりとおさえ、一貫した論理を展開することによって初学者にも分り安い量子力学を目指すという事だと思いますが(少なくとも前書きにはそう書いてあると思います)、これが達成されているか、かなり疑問です。
読んでいて思ったことは、最初から読者にある程度の知識を仮定して書かれているのではないかということです。というのもいきなりスピンの話が出てきて、それはz軸方向へ測定すると±1/2の値をもつが、x軸方向へ測ると確率的にしか定まらないという内容の事が書いてあるわけです(z軸方向の固有波動関数の場合ですが)。これは所謂シュテルンゲルラの実験による結論ですが、この説明にはもう少し丁寧にページ数が割かれるべき内容だと思います。JJサクライがやったように、スピンという簡単な系をを持ち出して古典論の破綻を浮き彫りにしようという試みは分ります。しかし基礎だからこそもう少し丁寧に説明した方が良いと思うのです。その後はスピン波動関数から内積などの導入が書かれているわけですが、これらの導入も初学者を考慮しているようには思えないです。私自身こういうことを習ったのは遥か昔で、最初に量子力学を習った時にどういうことを疑問に思い、何に心理的抵抗があったのか忘れていますから、初学者がこの本を読んでどれだけ量子力学を理解できるのか判断できないところがあります。そういったことを差し引いても初学者向けというには相当に厳しい本ではないかという感想です。よってお勧め度は3です。


ちょっと考え方を変えて、この本の目指すところは一度量子力学を勉強した人のための次のステップアップだとしましょう。そう思うとお薦め度は突然3から4へと変わります。この本で論理的に量子力学を説明していてスッキリはしていますが、それが初学者に易しいというわけではないと思います。(その必然性もないですし)細かい事ですが、図やイラストが少し欲しい気がします。あと好みの問題ですが、上級者向けのコメントなどに親切にスペード・マークを付けてあるのですが、できれば字も小さくして全体の文章と少し強調度合いを変えると読書の流れとしても良いのではないかと思いました。

結論としてこの本の位置づけは中級者以上でしょう。しかし値段も2000円とお手ごろなので志のある初学者は買って置いて損はないと思います。あやふやになりましたが、量子力学を深く理解しようという人にはお勧めしますが、それ以外の人には難しすぎて著者の試みが理解できないのではないかと言うことです。7章以降を読んだらこの書評に付け加えたいと思います。

「いやー、2,000円なら買いでしょう(つぶやきです)。」

コメント

あの2枡

あの2枡さん、コメント有難うございます。

清水明著 量子論の基礎かって読みましたか。やはり整理された論理展開ということが特徴なんでしょうね。あの2枡さんは私と同じような感想のようですね。人それぞれ色んなスタイルがあって、あの本は難しいとかあの本は分り安いとか、そういったことを友人と話すだけでもその人の持っている物理への思いがチラッとみえて楽しいですよね。また何かありましたらコメントください。

私もこの本買ってみました。
一般的な(大学の講義で使うような)量子力学の本と違って、公理、要請から全体の抽象的構造を組み立てていく切り口が斬新で面白いですね。論理展開もスッキリしていて読みやすいです。
ただ、後半のベルの不等式の辺りはなんだかとりあえず入れてみたって感じで中途半端になってしまっているのが残念ですが…。

でも確かに、一通り基礎をやった人にはこれは買いですね!

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