2017-09

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≪ 熱力学の基礎 ALL Eye Learning  δポテンシャルによる散乱 ≫

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黒体輻射は、なぜ黒体でなければならないか

(2009年3月、以下の記事が科学記事としては全くの的外れであると分りました。 しかし個々の知識には特に間違いは書いてないと思われるので、この記事自体には手を付けずに別に補足記事を書くことにします。 そちらも参考にして下さい。)


遥か昔ですが、黒体輻射のスペクトルが量子力学の発見へと繋がったという話を聞いたとき、「なぜ、黒体?」という疑問を持ったことがありました。しばらく考えて自分の中では解決したのですが、たどり着いた結論の是非を確認したことがなく、「熱力学の基礎(清水明著)」でようやく答えを確認することができました。大抵の方は知っていると思いますが、少し書いてみます。

まず、この黒体輻射は光のスペクトルに関する熱力学を問題にします。気体の熱力学が、ガスを箱に入れたときの温度とか圧力を問題にするように、この場合、光を箱に入れたときの温度や圧力を調べます。光の熱力学を調べるためにはどんな量を測ればよいか考えてみます。


すぐに思いつく熱力学的量として光子気体の圧力があります。光が箱の壁に当たれば反射するでしょう。箱の壁は、反射した光の運動量変化に対応した力(反作用)を受けます。質量がゼロであっても、光の運動量は定義されている事を忘れてはいけません。この事実は、有名なコンプトンの実験によって示され、彼の行った光と電子の散乱実験は「コンプトン散乱」と呼ばれています。よって光を入れた箱は光子気体がぶつかってくるために圧力を感じます。ただしこの圧力は実験で測るには小さすぎます。質量を持たない光は、壁を押す力が弱いのです。

次に思いつくのは温度でしょう。光子気体をいれた箱を一定の温度に保っておけば、光の温度もそれに一致しているはずです。この場合、光の温度は測定するものではなく、実験者が調整するパラメーターです。さて、そうするといったい何を測ればよいのでしょうか。

この問題が議論され始めた背景に、高温の窯を扱う職人たちが、窯の温度を知るために、光の色を見て判断していたという事がありました。つまり窯職人はその経験から、窯の温度は窯の中から出てくる光のスペクトルと関係していることを知っていたわけです。よって、物理学者達にとって知りたかったことは、何故窯の温度が光のスペクトルで決まるのか? という事でした。この単純な問題を調べていくことから、量子力学の発見があったわけです。話を元に戻して、光子気体の熱力学的性質を調べるためには、箱の温度と光のスペクトルの関係を調べることになったわけです。まだ「黒体輻射」という言葉はでてきません。


さて、光子気体を箱に入れた実験を考えて、その熱力学的性質を調べたいわけです。熱力学ということは、箱に入った光が平衡状態にあることが要求されます。よって、光を箱に入れるだけではだめで、その熱力学的平衡状態を実現してやる必要があります。通常の気体なら、お互いに衝突することで、エネルギーを交換します。しばらくその状態に放っておけば系は平衡状態へ移行します。しかし、光は互いに衝突しない粒子です(衝突確立は非常に低い:光は光にぶつかるか?)。よって光子気体はそのまま放っておいても、熱力学的平衡状態へは移行しません。光がお互いにエネルギーを交換するためには、どうすれば良いでしょうか。その答えは、箱の壁が光のエネルギー交換の媒体となれば良いということです。光からエネルギーをもらい、またそのエネルギーを光へ与えるような壁が必要になってきます。この目的のために、理想的な黒い壁、どんなエネルギーの光も吸収し、そしてどんなエネルギーの光も放出する壁として黒体が出てくるわけです。

この記事ではこの後 「ここにきてようやく、光子気体の熱力学を調べるには、光を黒い壁の箱に入れてその温度とエネルギースペクトルを測定すればよいということになります。黒体というのは、すべてのエネルギーを吸収し、そして放出する材質という意味です。」 と締めくくっていましたが、、これでは全く的外れな理解であるということを田崎晴明著「統計力学」を読んで気がつきました。これでは黒体輻射と空洞輻射の関係が全くつかめていないのです。 よって新たに学んだ知識を纏めて次の記事にしたいと思います。

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