2017-08

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≪ コーシーの積分定理 1 ALL 盆踊り ≫

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代数学の基本定理とコーシーの積分公式

私が大学で複素積分を習ったころに、大学の図書館である本に出会いました。洋書だったんですが、本のタイトルや著者は忘れてしまいました。記憶に残っているのは、その本の(たぶん)最初の章だったと思いますが、コーシーの積分定理を使って代数学の基本定理を証明していたんですね。その証明方法は殆ど忘れてしまいましたが、代数学の基本定理のような、少しとっつきにくい証明に解析学の手法を使うというところが印象に残っています。そこで先日、その証明を思い出そうと時間を割いて机に向かっていたら、どうも本に載っていたものとは違うけれども、これで良さそうだという証明が浮かんできたので書きたいと思います。

代数学の基本定理:「n次方程式Pn(x)=0は複素数の範囲で(解の重複もゆるし)n個の解を持つ」

ここで

Pn(x)= an xn +an-1 xn-1 +an-2 xn-2+…  +a1x +a


(最高次の係数はゼロではないとして一般性を失いません。)
とします。つまりPn(x)=0を満たすようなxがn個あるということです(補足)。一次方程式は簡単に解けてしまうので自明で、二次方程式は解の公式が存在しますから解を二つ持つことは中学で習います。一般のn次方程式は解の公式が存在しません。よって解を求めるアルゴリズが存在しないにもかかわらず、その解の個数について証明しようというのがこの問題の難しいところではないでしょうか。


さてこの証明は、コーシーの積分定理を認めると、いたって簡単にできてしまいます。Pn(x)とn-1次の多項式gn-1(x)の比を考え、次のような積分を定義します。

F=∫Cdz gn-1(z)/Pn(z)

ここで

gn-1(z)=bn-1 xn-1 +bn-2 xn-2+…  +b1x +b

とします。積分経路として最終的には|z|→∞の円を考えます(厳密には、どのくらいzを大きく取ればPn(x)のゼロ点を全て内部に含むかということを言わなければいけませんが、それは全ての係数anよりも大きなzを取れば良いでしょう)。よって非積分関数は

gn-1(z)/Pn(z)→bn-1/an/z

と近似できます。無視した項は|z|→∞の極限でゼロになる寄与です。よって

F=bn-1/anCdz(1/z+O(1/z2) =2πi× bn-1/an


となります。これはgn-1(z)/Pn(z)が非正則点
を領域の内部に少なくとも一つは持つことを意味しており、すなわち Pn(z)=0となる点の存在を証明します。これは、剰余の定理より

Pn(z)=(x-A)×(n-1次の多項式) 

と因数分解されます(非正則点はx=A)。n次の多項式から一次下がった多項式へと問題は移行しましたから、あとは次数を1次方程式まで下げてゆけば代数学の基本定理を証明したことになります。細かいところを飛ばしていますが、大雑把にはこれで良いと思います。間違いがあれば教えてください。




(補足)Pn(x)=0を満たすxをx=Aとして、この多項式が Pn(x)=(x-A)×gn-1(x)と因数分解できるというのは、剰余の定理で証明されています。(gn-1(x)はn-1次の多項式)。この証明は、n-1次の多項式gn-1を一般にパラメトライズしてそれぞれの次数の係数を求めるアルゴリズムを作ることができるので、良いとしましょう。

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