2017-05

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シュレディンガー方程式の数値解 その1

シュレディンガー方程式を簡単に解く事ができたら、様々な物理現象を調べることができて楽しいだろう。 そんな思いから、暇を見つけてプログラムを書くことにした。問題にするのは、定常状態のシュレディンガー方程式。方法はいたって簡単。何の工夫もなく、単にルンゲ・クッタで微分方程式を解いていこうという事だ。
数値計算を始める前に、下調べをした方が良いだろう。いきなり難しい問題を解いたところで、意味のある情報を引き出すのが難しいだろうから。先ずは簡単な調和振動子問題で足慣らしといこう。微分方程式は

-(h2/2m) ψ''+mw2x2/2 ψ = E ψ

であるが、勿論次元を消去して

-1/2 ψ''(z)+ z2/2 ψ(z) = e ψ(z)

を考える。ここでx=√(h/mw) z , E= hwe とする。この式の解析解は以前求めた。http://letsphysics.blog17.fc2.com/blog-entry-248.html 今回は微分方程式を数値的に解くことで、以前の結果を再現したいのだが、その大まかなアイディアだけ説明する。


先ず微分方程式を解くためには境界条件を与える必要がある。それにはいろいろなバリエーションがあり、問題に応じて適切なものを選べば良いだろう。例えば、調和振動子問題は左右対称なので、波動関数は左右対称、または反対称になっていなければならない。また規格化定数は後で調整すれば良いので、基底状態(とn=偶数状態)に対しては原点x=0での波動関数をψ(0)=1と設定する事ができる。量子数nが奇数の場合は反対称な波動関数を実現するためにはψ(0)=0となる。シュレディンガー方程式は二回微分方程式なので、もう一つ初期条件が必要だ。これには波動関数の一回微分を取ればよいだろう。n=偶数の状態は左右対称なのでψ’(0)=0となる。またn=奇数の状態は波動関数の規格化定数を調整する事でψ'(0)=1とできる。


これらの初期条件はシュレディンガー方程式の中に入っているポテンシャルの性質に拠っているので、問題に応じて適切なものを使わなければ意味がない。今回は面倒な事を避けるために、解析解の原点での値とその微係数をインプットにして微分方程式を解くことにした。つまり初期条件は知っているものとして、ズルをした。問題の本質ではないので、まあ良いだろう。

さてそれでは、ルンゲ・クッタのプログラムを走らせようと思うが、それは無理である。微分方程式に未知の定数eが入っている。問題を解く前に、エネルギー固有値を知っているはずはないのだが、そのパラメーターが解くべき微分方程式に入っている。これが力学などの問題と違う、量子力学特有(=固有値問題)の性質である。


この問題を回避する良いアイディアがないので、とりあえず知られている解析解を用いて遊んでみよう。下にe=1/2, 3/2, 5/2の場合の波動関数をプロットしてみた。答えはエルミート多項式で書けている。またエネルギー固有値は誰でも知っている E=hw(n+1/2)の公式を与える。

harm_os_nume02



もしもE=hw(n+1/2)の公式を知っているとしたら、ルンゲ・クッタを走らせることができる。それも図に描いてみよう。つまり結果を先取りして、微分方程式から波動関数だけを数値計算したことになる。

harm_os_nume03


この図を見ると、大きなxの領域で解析解の図とはずれていることが分かる。これはルンゲクッタの誤差が原因である。初期条件をx=0で与えて、微分方程式を解いたのだが、xが大きくなると、誤差が積もって、何れは発散してしまう。とはいっても、誤差が積もる以前に、ψ=0となる平らな領域が多少広がっているので、この発散は誤差が原因である事を推測するのは難しくない。


予想がつくように、シュレディンガー方程式、または固有値方程式というものは、微分方程式の各項からの寄与が微妙に相殺して有限な値を与えるという構造をしていることが分かる。これは解析解を求めたときにも、波動関数の値がx→∞で発散しないという条件から、エネルギーの量子化が与えられた事と対応している。つまりエネルギーが正確な値から少しでもずれたなら、波動関数は規格化できないような振る舞いをすることになる。E=hw(n+1/2)という飛び飛びの値しか許されないのはそういった意味がある。


この事を逆手にとると、波動関数がx→∞で発散しないようにエネルギー固有値をうまく調整してやらなければならないという条件からエネルギーの値が数値的に求まることになる。つまりルンゲ・クッタに適当なエネルギーの値を入れ、数値計算をする。この時に波動関数がx→∞でうまく制御されているなら、それが答えだ。論より証拠、下の図では規格化したエネルギーeを0.3~0.6まで0.1刻みで変えて計算した波動関数を描いた。e=0.5の時に波動関数がうまく制御されていることが分かる。つまりこれが答えである。

harm_os_nume04


同様の計算をe=1.3~1.6と0.1刻み、またe=2.3~2.6と0.1刻みで計算した図が下にある。e=1/2、3/2、5/2 の場合の図が赤い線で描いてある。これらは波動関数の振る舞いがx~±8付近まで制御されている。その後、誤差の問題で、何れの場合も波動関数が発散してしまう。しかしその発散の傾向は正確なエネルギー固有地の前後で、+∞から-∞(またはその逆)へと変化している。これらの情報をうまく使えば数値的にはシュレディンガー方程式が解けることになる。

harm_os_nume05





このような数値計算をしてみるとシュレディンガー方程式とエネルギーの離散化の関係が見えてくる。それは、エネルギーeをパラメーターとして含む微分方程式を考えた時に、波動関数ψ(x→±∞,e)が有限にとどまるような絶妙な組み合わせが存在し、それが離散化されたエネルギー固有値として現れるということだ。自然がこのような絶妙な組み合わせの上に成立しているのは、(安定性の面から)一見奇妙に思えるが、それは多分逆に見るべきなのだろう。つまりx→∞での波動関数の振る舞いがポテンシャルによって抑えられているので、エネルギーの値がピッタリと決まると。

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