2017-11

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≪ 漸近級数 2 ALL 漸近級数 4 ≫

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漸近級数 3

前回までの漸近級数の記事で、漸近級数というものについて、一応分かってもらえたのではないかと期待する。ただ、具体例をあまりやっていないので、テイラー展開との違いがまだしっくりこないかもしれない。前回漸近級数の具体例として考えたE(x)をもう少しじっくり調べてみる。

E(x)=∫x dt et-x/t

この関数は積分指数関数Ei(x)と呼ばれるものにe-xをかけたものである。公式集などを参考にするかもしれない人のためにその関係を書くと

E(x)=e-xEi(x)

となる。前回やったように、x→ -∞での漸近級数は、

e-xEi(x) ~ 0!x-1 + 1! x-2 + 2! x-3 + ..... + (n-1)!x-n

である。 さて、この漸近級数がどの程度良い近似なっているか数字を代入して調べる。黒い線がE(x)で、赤い点はn=2の漸近級数、緑はn=25までとった場合の漸近級数である。どちらの漸近級数もxが大きくなればE(x)に近づいていくのが分かる。(E(x)はx<0に対して負になるので、図では符号を引っくり返したものを描いた。)




次に、x=-5でのE(x)とその漸近級数を比べてみた。因みにE(-5)=-0.170である。漸近級数の項数を多く取るのはnを大きくすることに対応しているが、ここで注目すべきは、nを大きく取ると漸近級数と近似したい関数のずれが大きくなる事だ。テイラー展開では、項数を増やせば近似が良くなるのだが、漸近級数では必ずしもそうはなっていないという一例だ。つまり、実際に漸近級数を使用して何かを計算する場合には、項数をどの様に選べば最適な値が得られるか予め知っておく必要がある。
eiasymptotic2.gif


同じ事をx=-10でやってみたのが下の図。 E(-10)=-0.09156である。やはりあまりnを大きく取るとE(x)とのずれがでてくる。

eiasymptotic3.gif


まとめると、(多くの)漸近級数では項数を多く取ればその値は発散してしまう。テイラー展開では、近似の精度をあげるために多くの項を計算すれば良いのだが、漸近級数ではそれでは近似式の精度を上げるどころか悪くしてしまう。そもそもの定義にもどれば明らかなように、漸近級数ではnを固定して、x→∞の極限で漸近展開が元の関数に一致するとしか主張していない。つまり漸近級数はxを固定して、nを大きくするのはご法度で、nを固定してxを大きくすべきなのだ。その名のとおり、xを大きくすれば漸近的にもとの関数に近づくというわけだ。

(一般的には)漸近級数は固定されたxに対して近似式の精度を上げようという目的には適していない。ただし大きなx(注)に対して、実用上、漸近級数をつかって必要な精度の近似式が得られるので大変有用である。

(注)大きなxがどのくらい大きければ良いかは、近似したい関数によって異なる。実用上多くの場合、x=10程度でも漸近展開は有用である。

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