2017-08

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直感と論理のはざまで 4

イプシロン・デルタ論法が分からないという人の多くは、本当に「イプシロン・デルタ論法のロジック」が分からないという以前に、何故そんなややこしい定義を持ち出すんだ、それって必要なのか?そういうところで思考停止している事が多いと思われる。

正直な所、私も使いやすいから使っている以上の理解をしておらず、「それって本当に必要なの?」という質問に答える事ができない。どのように使いやすいか、それは具体例をやってみれば分かる。イプシロン・デルタ論法でなければ難しいと言われている次の証明問題を考えてみる。

[問題] lim→∞ an = a の場合に、

lim→∞ ( a1 + a2 + a3 + ....... + an)/n = a  を証明せよ。

  証明を考えるまえに、多少直感に頼って問題自体を調べてみよう。n項までの和をnで割ったものを Sn と呼ぶ事にしよう。これを展開して

Sn ≡ ( a1 + a2 + a3 + ....... + an)/n = a1/n + a1/n + a3/n + ..... + an/n

ここでlimn→∞ an = a から、anはnを大きくしてゆくとaであり、各項aiは有限である事を考慮すると展開されたSnの各項は a1~n/n=0となる。すると

limn→∞[ a1/n + a1/n + a3/n + ..... + an/n ] → 0 + 0 + 0 +...... + 0 = 0

となりそうである。勿論これは単純すぎるし、間違っている。原因は「展開されたSnの各項は a1~n/n=0」と考えた箇所がイケナイ。確かにnが大きくなれがai/nはゼロに近づくがゼロそのものではない。ゼロに近い小さな項を集めてゆけば

0.0000? + 0.000000? + 0.00000? +...... + 0.0000? ≠ 0

となる事だってある。実際我々は  n×1/n = 1/n+1/n+1/n+......+1/n = 1  という単純な例を知っている。

この単純な間違いは多少教訓的だと思われる。limn→∞ Snを考えるためには ai/n という小さい項をn個集めてどの程度になるかを知る必要がある。つまり

ai/n → 0

という情報だけではダメで、それをn個集める操作を施した時にどの程度の量かという事をしっかりと抑えて初めてこの問題が解ける。極限操作に関係した計算では「ゼロに限りなく近い」とか、「無限に多くの項を集める」などという表現を軽々しく使うが、こういった事は相当にデリケートな問題であるのが理解されると思う。

コメント

私はε-δ論法(あるいは、ε-N_0論法)の演習についてほとんど知らないので、今回の問題は新鮮でした。数学の本を読んでいるとε-δ論法はデデキントの切断とか群・環・体の定義とかの話に紛れていて、なんだか難しげでしたから。(もちろん群・環・体についてはε-δ論法よりももっと知りません。)

それはさておき、解いてみました。長くなりました。

「 任意のεに対しある値 p が存在して、n > p となるすべての n に対し |a_n - a|<ε 」が成り立つとき、
A_q = ( a_1 + a_2 + …… + a_q )/q (q > p)
と置くと
A_q = ( a_1 + a_2 + …… + a_p)/q + (a_{p + 1} + … + a_q )/q = ( a_1 + a_2 + …… + a_p)/q + ((a_{p + 1} - a) + … + (a_q - a))/q + (q-p)a/q
これより
( a_1 + a_2 + …… + a_p)/q - (q-p)ε/q + (q-p)a/q < A_q < ( a_1 + a_2 + …… + a_p)/q + (q-p)ε/q + (q-p)a/q
であるから
( a_1 + a_2 + …… + a_p)/q - (q-p)ε/q + (-p)a/q < A_q - a < ( a_1 + a_2 + …… + a_p)/q + (q-p)ε/q + (-p)a/q
であり、ここから
(i) 最左辺が0または正のとき |A_q - a| < |(最右辺)|
(ii) 最右辺が0または負のとき |A_q - a| < |(最左辺)|
(iii) 最左辺と最右辺が異符号のとき |A_q - a| < Min(|(最左辺)|,|(最右辺)|)
が言える。

ここで
|( a_1 + a_2 + …… + a_p)|/Q1 < ε
をみたす Q1 が存在し、 q > Q1 であるすべての q に対し
|( a_1 + a_2 + …… + a_p)|/q < ε
が成り立つ。また、
|±(Q2-p)ε/Q2 + (-p)a/Q2| = |±ε - (a±ε)p/Q2| < ε + |(a±ε)|p/Q2 < 2ε
をみたす Q2 が存在し、 q > Q2 であるすべての q に対し
|±(q-p)ε/q + (-p)a/q| < 2ε
が成り立つ。
以上より
q > Max(p,Q1,Q2) のとき |( a_1 + a_2 + …… + a_p)/q ± (q-p)ε/q + (-p)a/q| < 3ε
である。

そのとき上記(i),(ii),(iii)のどの場合においても |A_q - a| < 3ε
3εをあらたにεと書くと
「 任意のεに対しある値 M が存在して、q > M となるすべての q に対し |A_q - a|<ε 」が成り立つ。
すなわち lim A_q = a である。

こんな程度でいいのでしょうか……ちなみに「 lim a_n = a のとき lim 1/a_n = 1/a 」を示すのも苦手です。

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