解析接続3
次の微分方程式を F(0)=1という条件で解こう。
(1-x) d/dx F(x) = F(x)
解ける人には直ぐに解ける。 ここではF(x)に級数和の形を仮定して解こうと思う。つまり
F(x)=Σn an xn として、anを求めると答えがわかったと言うわけである。
まず一回微分すると d/dx F(x) =Σn an n xn-1。 これに(1−x)を掛けると
(1-x) d/dx F(x) = Σn an n xn-1 - Σn an n xn .........(1)
よって解くべき微分方程式は
Σn an n xn-1 = Σn an n xn + Σn an xn .........(2)
となる。(1)の2項は右辺へ移した。 左辺の級数和においてn=m+1 と変数をおきかえると
左辺:Σn an n xn-1 =Σm am+1 (m+1) xm
= Σm am+1 m xm + Σm am+1 xm = Σn an+1 n xn + Σn an+1 xn
で、最終的に微分方程式は
Σn an+1 n xn+ Σn an+1 xn = Σn an n xn + Σn an xn
となる。 これをじっと睨むと答えは an+1=anだとわかる。またF(0)=1の条件より a0=1 なので
F(x) = Σn xn
が答えとなる。 これを元の微分方程式に代入すると答えを容易に確認できる。 さて、これで正しいのだが、この表式だと x が1より大きい場合に F(x) が定義されていない。もともとの微分方程式は特にそういった制限はないのだが、どうしてだろう?
それはここでの解法に問題がある。つまり求めた F(x) が|x| < 1 以外では使えないのは、もともとの仮定、「F(x)を級数和で求めよう」に原因がある。 そこで|x| > 1 でも答えを求めたいという事になる。つまり
====================
F(x)は|x| < 1 の領域では
F(x)=1+x+x2+x2+x3+・・・・+x∞
と求まったが、その他の領域ではどうなるの?
====================
もう分かっていると思うが この級数和を |x| <1 以外でも使える形に拡張したいというわけである。当ににそれは解析接続で得られ、 F(x) = 1/(1-x) である。 実際 F(x)=1/(1-x) は |x| < 1では級数和と一致し、当然微分方程式を満足する。 但し解析接続された関数は |x| <1 以外でも使え、当然(x=1を除くすべての点で(補足参照))微分方程式も満足する、つまり級数和よりも一般的な答えである。
このように解析接続の使われ方を見れば、だいぶ理解が深まるのではないだろうか。 解析接続は特殊な形を求めた後に、それを一般化するというふうに使われる。 ところで特殊な解を求めた後に、それを大きな領域へ拡張できるかどうかは、もともとの問題に依っている。 今回のように、関数の微分可能性を仮定できる場合は、当然解析接続が有効である。 しかし一般には拡張の方法は一意的でなく、解析接続以外の方法もありえるだろう。
微分可能性を仮定して関数を拡張するとは、どういう事か、図で見てみよう。 x≦−1へ関数F(x)を拡張する方法を考える。 先ず、我々は|x| < 1では関数F(x)を知っているとしよう。 これが図1である。

そこでx≦−1へ関数を繋ぐように適当に線を引いたとしよう。

左側に3っつの線をひいた。それぞれ
青: A(x)=1 (x≦-1)
赤: B(x)=1/2 (x≦-1)
黒: C(x)=1/(1-x) (x≦-1)
である。 青いラインは −1<x<1 から来る F(x) とはx=−1で繋がらない。つまりこういった関数の拡張の仕方は関数の連続性を考慮すると排除される。 解析性という言葉には 関数の連続性も入っている。 次に赤のラインは一応関数として連続な繋ぎ方にはなっている。 しかし図を拡大してみるとx=−1での接続の滑らかになっていないことが分かる。

つまり、これだとx=−1で微分できない。こういった接続の仕方も解析接続では排除される。解析接続は知っている関数を滑らかに拡張していく方法なのだ。 この方法が自然だということは誰しも認めるところだろう。様々な場面で解析接続が関数の拡張の方法として使われるのも納得がいくだろう。
(補足)ところで、なぜx=1だけは解析接続された関数でも定義されてないのかというと、もともとの微分方程式がx=1で特異な形をしているからに他ならない。この点だけはどうしても、関数を定義することができない。これは解析接続がうまくいかないというわけではなく、もともとの微分方程式がx=1で、関数が発散することを要求しているのためである。
(1-x) d/dx F(x) = F(x)
解ける人には直ぐに解ける。 ここではF(x)に級数和の形を仮定して解こうと思う。つまり
F(x)=Σn an xn として、anを求めると答えがわかったと言うわけである。
まず一回微分すると d/dx F(x) =Σn an n xn-1。 これに(1−x)を掛けると
(1-x) d/dx F(x) = Σn an n xn-1 - Σn an n xn .........(1)
よって解くべき微分方程式は
Σn an n xn-1 = Σn an n xn + Σn an xn .........(2)
となる。(1)の2項は右辺へ移した。 左辺の級数和においてn=m+1 と変数をおきかえると
左辺:Σn an n xn-1 =Σm am+1 (m+1) xm
= Σm am+1 m xm + Σm am+1 xm = Σn an+1 n xn + Σn an+1 xn
で、最終的に微分方程式は
Σn an+1 n xn+ Σn an+1 xn = Σn an n xn + Σn an xn
となる。 これをじっと睨むと答えは an+1=anだとわかる。またF(0)=1の条件より a0=1 なので
F(x) = Σn xn
が答えとなる。 これを元の微分方程式に代入すると答えを容易に確認できる。 さて、これで正しいのだが、この表式だと x が1より大きい場合に F(x) が定義されていない。もともとの微分方程式は特にそういった制限はないのだが、どうしてだろう?
それはここでの解法に問題がある。つまり求めた F(x) が|x| < 1 以外では使えないのは、もともとの仮定、「F(x)を級数和で求めよう」に原因がある。 そこで|x| > 1 でも答えを求めたいという事になる。つまり
====================
F(x)は|x| < 1 の領域では
F(x)=1+x+x2+x2+x3+・・・・+x∞
と求まったが、その他の領域ではどうなるの?
====================
もう分かっていると思うが この級数和を |x| <1 以外でも使える形に拡張したいというわけである。当ににそれは解析接続で得られ、 F(x) = 1/(1-x) である。 実際 F(x)=1/(1-x) は |x| < 1では級数和と一致し、当然微分方程式を満足する。 但し解析接続された関数は |x| <1 以外でも使え、当然(x=1を除くすべての点で(補足参照))微分方程式も満足する、つまり級数和よりも一般的な答えである。
このように解析接続の使われ方を見れば、だいぶ理解が深まるのではないだろうか。 解析接続は特殊な形を求めた後に、それを一般化するというふうに使われる。 ところで特殊な解を求めた後に、それを大きな領域へ拡張できるかどうかは、もともとの問題に依っている。 今回のように、関数の微分可能性を仮定できる場合は、当然解析接続が有効である。 しかし一般には拡張の方法は一意的でなく、解析接続以外の方法もありえるだろう。
微分可能性を仮定して関数を拡張するとは、どういう事か、図で見てみよう。 x≦−1へ関数F(x)を拡張する方法を考える。 先ず、我々は|x| < 1では関数F(x)を知っているとしよう。 これが図1である。

そこでx≦−1へ関数を繋ぐように適当に線を引いたとしよう。

左側に3っつの線をひいた。それぞれ
青: A(x)=1 (x≦-1)
赤: B(x)=1/2 (x≦-1)
黒: C(x)=1/(1-x) (x≦-1)
である。 青いラインは −1<x<1 から来る F(x) とはx=−1で繋がらない。つまりこういった関数の拡張の仕方は関数の連続性を考慮すると排除される。 解析性という言葉には 関数の連続性も入っている。 次に赤のラインは一応関数として連続な繋ぎ方にはなっている。 しかし図を拡大してみるとx=−1での接続の滑らかになっていないことが分かる。

つまり、これだとx=−1で微分できない。こういった接続の仕方も解析接続では排除される。解析接続は知っている関数を滑らかに拡張していく方法なのだ。 この方法が自然だということは誰しも認めるところだろう。様々な場面で解析接続が関数の拡張の方法として使われるのも納得がいくだろう。
(補足)ところで、なぜx=1だけは解析接続された関数でも定義されてないのかというと、もともとの微分方程式がx=1で特異な形をしているからに他ならない。この点だけはどうしても、関数を定義することができない。これは解析接続がうまくいかないというわけではなく、もともとの微分方程式がx=1で、関数が発散することを要求しているのためである。
コメント
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***さんへ
解析性と微分可能性の違いについてのコメントありがとうございます。
確かに、微分可能性というよりもテイラー展開可能性でしょうね。
そのほうが強い制限になりますし、正確だと思います。
そのことは念頭に有りましたが、高校生程度の方にも理解してもらいたいという目的で、「テイラー展開」という言葉を使いたくなかったんですね。でも微分可能性なら分かるんじゃないかと思い「微分可能性」という言葉を使う事にしたんですが、数学的には正確じゃないので、補足で加筆しておきます。
確かに、微分可能性というよりもテイラー展開可能性でしょうね。
そのほうが強い制限になりますし、正確だと思います。
そのことは念頭に有りましたが、高校生程度の方にも理解してもらいたいという目的で、「テイラー展開」という言葉を使いたくなかったんですね。でも微分可能性なら分かるんじゃないかと思い「微分可能性」という言葉を使う事にしたんですが、数学的には正確じゃないので、補足で加筆しておきます。
感想どうも。グッと来て、ガッとなる、そんな解説をめざしていたので、グッときてもらえて嬉しいです。
えーと、多少言い訳ですが、数学的にはかなり手を抜いた説明をしてしまったので、このままだと「なぜ複素関数でなければならないか」という点が曖昧です。次にそれを書こうと思っていましたが、例のごとく意気消沈でやめてしまいました。気分が向いたら、書こうと思います。
とりあえず、「解析接続ってなに? ∞を有限にする物凄く神秘的なものらしいんだけど・・」 という誤解を解きたい目的はある程度達成されたと思ってよいのかな?
優乃さんがグッと来たということだから、そう理解して良いのでしょう。うん、そう思うことにしよう(自己完結)。
「ここ、分かり辛い」という意見もお待ちしています。
えーと、多少言い訳ですが、数学的にはかなり手を抜いた説明をしてしまったので、このままだと「なぜ複素関数でなければならないか」という点が曖昧です。次にそれを書こうと思っていましたが、例のごとく意気消沈でやめてしまいました。気分が向いたら、書こうと思います。
とりあえず、「解析接続ってなに? ∞を有限にする物凄く神秘的なものらしいんだけど・・」 という誤解を解きたい目的はある程度達成されたと思ってよいのかな?
優乃さんがグッと来たということだから、そう理解して良いのでしょう。うん、そう思うことにしよう(自己完結)。
「ここ、分かり辛い」という意見もお待ちしています。
グッときました。ご説明ありがとうございます。
この記事を読ませて頂いて、級数が絡んでいなくても拡張できることがあるのか疑問が湧きました・・・が、あるんでしょうね。解いた式が、問題の式よりも定義域が狭いときに、疑ってみると良さそうです。
何気に微分方程式の解き方も面白いと思いました。数列って魅力的ですよね♪
この記事を読ませて頂いて、級数が絡んでいなくても拡張できることがあるのか疑問が湧きました・・・が、あるんでしょうね。解いた式が、問題の式よりも定義域が狭いときに、疑ってみると良さそうです。
何気に微分方程式の解き方も面白いと思いました。数列って魅力的ですよね♪
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俄僅さん、お久しぶりです。読んでくださったんですね。感想を書いてくださってありがとうございます。なんとなく、イメージは伝わったでしょうか。
最近忙しくて、勉強をする時間がとれなくて、いろんな記事が途中でとまったままです。あせらず、ノンビリとやってゆくつもりですのが更新のペースは落ちますが、コメントに対する返答は素早く対応するつもりです。 どしどし書き込みして下さい。
最近忙しくて、勉強をする時間がとれなくて、いろんな記事が途中でとまったままです。あせらず、ノンビリとやってゆくつもりですのが更新のペースは落ちますが、コメントに対する返答は素早く対応するつもりです。 どしどし書き込みして下さい。
うーん。解析接続とはこういうものだったのですか。なんとなく多様体のようなものを考えてました。
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