2017-09

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≪ トゥ マッチ? English 1 ALL 古典力学の理想的状況について 3 の補足 ≫

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古典力学の理想的状況について その3(運動量とエネルギー)

随分間が開きましたが、古典力学の理想的な状況についての続きを書きます。

前回運動量保存則は破れることはないという事を書いた。それは確かなのだ。 しかし運動量保存則が有益な量ではない場合にはそれを持ち出す意味がない。 そういった状況に

「運動量保存則が破れている」

と一言いって済ましてしまうのが通常である。 前回も書いたように、運動量保存則が破れているように見えるのは対象となる全系を考慮してないからに他ならないわけだが、実際上は全系を含めて考えるのはなかなか面倒なのだ。 以下で示すように、それは計算上面倒であるばかりでなく、実験をするという面でも厄介な問題を引き起こすことになる。 

よって結論から言えば、運動量保存則を満足するような全ての系を含めて考えるよりも「運動量保存則が破れているように見える部分系で、運動量保存則を持ち出さずに問題を解く方がずっと楽である」 という事になる。 えと、つまり、理想論よりも実利という感じであろうか(笑)。
以下では、万有引力で引き合う2対問題という具体例を考える。 惑星1の質量をm、2の質量をMとする。 以下 M >> m の状況を考える。 つまり、質量の大きな惑星2の周りを回る小惑星1という設定である。 この問題は通常一体のポテンシャル問題として解かれる。 そしてその場合には(考えている部分系に対しては)運動量保存則は破れているという設定になる。 詳しくは力学のテキストを開けばどこにでも載っている。 私の記事ではまだ導入していない、

重心座標 、 相対座標、 運動エネルギー、 ポテンシャル


という言葉がでてくるが、詳しい定義やその意味の解説は力学のテキストに任せることにする。
惑星1と2の運動方程式は

m r1'' = F1  …①

M r2'' = F2  …②

である。 作用反作用の法則よりF2=-F1の関係が有ることに注意しよう。
よって、二つの運動方程式を足すと右辺の和はゼロである。 m r1'' + M r2'' =0。 これは重心座標 R≡ (m r1 + M r2)/(m+M)に対して

R''(t) = 0  → R(t)= V t + R0

いう答えを出してくれる。 通常は重心は動かないとして V=0 をとる事になる。 よって R(t)= R0。 そこで重心座標と相対座標 r≡r1-r2を用いると、二つの座標は

r1 = R0  +  M/(m+M) r …③

r2 = R0 -  m/(m+M) r …④

と分解される。 この記事で私が説明したいのはこれらの式で事足りる。 M>>mの設定の下で惑星1と2の運動量を調べてみよう。

p1 = m r1' = m M/(m+M) r'  …⑤
p2 = M r2' = - M m/(m+M) r' …⑥

R0は定数なので微分してゼロ、よって運動量に寄与しない。当然の結果だが惑星1と2の運動量の和は常に一定である。 つまり惑星2の運動量まで考慮しなければ運動量保存則は満たされない。 ここで、質量が大きな惑星の運動量の式をじっと見て欲しい。
非常に大きな質量M と その速度  r2'  の積で定義されている。つまり、この運動量を実験で測定するとなると非常に小さな速度 r2' を1/M 程度まで正確に測る必要がある。 しかし実際には他の惑星の影響なども無視できないであろうから、この測定にどれだけの意味があるのか疑問であろう。 このように小さい量を扱わなければならないことは思った以上に厄介なものである。 数値計算をしたことがあるものならその難しさを知っているだろう。簡単に思える積分であっても、小さい量と大きな量を掛けて適当な大きさのものを出すのは相当に気を使うものなのである。


さて、運動方程式に話をもどす。 ①を重心と相対座標を使って書き直すと

m [M/(m+M)] r'' = F1

となる。 力が万有引力の場合 F1= - G m M/r2 であるから、この式は


m [M/(m+M)] r'' = - G m M/r2


ちょっとしたテクニックだが、この式に r の一回微分を掛けて整理すると

d/dt (m/2 [M/(m+M)] r'2) = - d/dt (- G m M /r)

となる。 実際(合成関数の微分公式を使い)微分すると上の式にr’を掛けたものになっている事が確認できる。ここで左辺と右辺の微分の中に入っている量は運動エネルギー、ポテンシャルエネルギーと呼ばれている。

T ≡ m/2 [M/(m+M)] r'(t)2
V ≡ (- G m M /r)

そして上の式はd/dt [T+V]=0であるから、

T + V = 一定(時間に依らない)

を意味する。この二つのエネルギーの和を力学的エネルギーと呼んで様々な問題で便利な量として使われるものである。そしてそれは保存する。 物理では保存する量がもっとも大事である。 さてこのエネルギーの式は M→∞の極限が簡単になるという良い性質を持っている。

limM→∞ T = limM→∞ m/2  r'(t)2 = m/2 r'1 (t)2

注意したいのは重い方の惑星に関係した量が現れないことである。  最後の等号ではr'=r'1-r'2≒ r'1 を使った(補足)。 ポテンシャルエネルギーにはMが現れているが、これはGという定数一まとめにして (GM) を測定することにすれば良いであろう。  という事でエネルギー保存則は運動量保存則と異なり、重い惑星のパラメーターを含まない形に書くことができる、つまり部分系だけで閉じた量となるのである。 ポテンシャルの方は微分など含まないので‘r=r1-R0と置き換えてやれば良く重心から測ったポテンシャルが現れる。

そんなわけで「エネルギー保存則は常に成り立ち、運動量保存則は場合によって破れる」かのように説明されるが、実際はどちらも全系を含めた法則なのである。 大きな違いはエネルギー保存則は部分系だけのパラメーターで閉じた形に書けるということだ。 とまあ、言いたいことは大体吐き出したので終わりにする。 唯誰かにこのことを確認したわけではないし、本にもこんなこと一々書いてないので、どこかで大きな勘違いをしている可能性も大有り。


(補足)なぜなら②より

r2 = R0 -  m/(m+M) ( r1 - r2) ⇒ r2= (R0 -  m/(m+M) r1)/[M/(m+M)]

両辺を微分すると  r'2~ (m/M) r'1となる。

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