量子力学における運動量3
主張(B)の立場で、「量子力学の確立解釈から規格化可能な状態を作るべきだ」に沿って波束を構成する仕事が残っているが数式を入力するのが面倒なので後回しにしよう。 今回は主張(C)を片付けておく。 つまり平面波に対する位相速度の解釈がおかしいということについて考える。 そもそも位相速度とはなんであったか、これに関しては記事「位相速度と群速度」を読んでほしい。
位相速度は平面波のもつ山と谷の構造をみて、速度を定義していることがわかる。ところが、量子力学の波である波動関数は電磁気学や古典力学の波とは異なる性質がある。 それは、「波動関数は本質的に複素数である」という事である。 つまり
ψ = exp(-i Et + i px )
という波動関数の実部や虚部だけを取り出すことは一般にできない。例えば
Re(ψ) =cos(Et+px)
は(時間に依存する)シュレディンガー方程式を満足しない。 一方電磁気学で扱う通常の波に関して位相速度を考えるとき、それは実部と虚部それぞれに適用することができる。 もっというと古典的な波に関しては指数関数expを用いて複素数の波を考えるのは便宜上のものであって、その実体は実数の波である。 電磁気学において複素数の波が許されるのは、オイラーの公式 exp(iθ)=cosθ+i sinθ と、電磁気学の波動方程式が虚数iを含まないことからくる(便宜上導入された複素数波の)実部と虚部の独立性、のおかげである。
実部と虚部それぞれに適用できる波の位相速度という概念は量子力学の波動関数にそのまま適用するのは問題がある。例えば観測量である波動関数の《絶対値二乗》を考えると
|ψ |2=1
となって、ここでは位相速度という概念が適用できない。なぜなら波動関数の絶対値二乗には波のもつべき山と谷の構造が存在しないからである。 かといってこの状況で波動関数から速度の情報を引き出すのは厄介な問題である。通常エネルギーの固有状態とは定常波であり、それが二乗積分可能な波動関数の場合には速度v=0となる(補足)。しかし平面波は例外的な場合、つまり二乗積分が不可能な場合であるから、流れが存在しても良い。 波動関数の二乗が一定だからといってそれは速度v=0であるとは限らない。
まとめると、本質的に複素数の波である波動関数に対して位相速度を考えるのはどうもよろしくない。
なぜなら、位相速度を定義するために必要な波の山と谷の構造について「波動関数そのものは観測量ではない」という量子力学の立場から明確な意味づけが難しい。かといって絶対値の二乗を考えると位相がなくなるので位相速度が定義できない。つまり定常状態である平面波に対してその速度を定義する直感的な方法が見つからない。そしてそのことは平面波が二乗積分可能でないこととも関係している。
これで規格化可能な波束を考えればこの問題に関して答えが見つかるのではないか、波束を使ったら今まで見たきたような問題はすべて解決できるのではないかと期待が高まる。 実際に、私の知る限り波束を使うとこれらすべての問題が解決する。それでは教科書では何故波束をつかって説明されないのだろうか? そのような疑問を教授にぶつけたことがある。 そして答えは至って単純。
「計算が面倒だから」
ということらしい。 通常の平面波を使った計算でも答えは正しくでるので簡便法としてそれを受け入れているということである。
(補足)定常には二つの場合があり得る。一つは全ての力学量が静的である場合、そしてもう一つは流れが存在しているが時間的に揺らぎがない場合である。 静かな湖の水面は前者であり、それは時間的に全ての物事が止まっている状態。 そして緩やかに流れる大河の水面は後者である。水は流れても、流れが時間的に変化しなければやはり定常である。
一次元問題で二乗積分可能な波の場合、後者の意味の定常状態は考えられない。なぜなら確立密度が保存しつつ流れが存在する場合にはx=∞においてもやはり流れも確率密度も一定であるから必ず二乗積分は発散してしまう。例外は二次元以上で、流れが渦のように回り続けている場合である。
位相速度は平面波のもつ山と谷の構造をみて、速度を定義していることがわかる。ところが、量子力学の波である波動関数は電磁気学や古典力学の波とは異なる性質がある。 それは、「波動関数は本質的に複素数である」という事である。 つまり
ψ = exp(-i Et + i px )
という波動関数の実部や虚部だけを取り出すことは一般にできない。例えば
Re(ψ) =cos(Et+px)
は(時間に依存する)シュレディンガー方程式を満足しない。 一方電磁気学で扱う通常の波に関して位相速度を考えるとき、それは実部と虚部それぞれに適用することができる。 もっというと古典的な波に関しては指数関数expを用いて複素数の波を考えるのは便宜上のものであって、その実体は実数の波である。 電磁気学において複素数の波が許されるのは、オイラーの公式 exp(iθ)=cosθ+i sinθ と、電磁気学の波動方程式が虚数iを含まないことからくる(便宜上導入された複素数波の)実部と虚部の独立性、のおかげである。
実部と虚部それぞれに適用できる波の位相速度という概念は量子力学の波動関数にそのまま適用するのは問題がある。例えば観測量である波動関数の《絶対値二乗》を考えると
|ψ |2=1
となって、ここでは位相速度という概念が適用できない。なぜなら波動関数の絶対値二乗には波のもつべき山と谷の構造が存在しないからである。 かといってこの状況で波動関数から速度の情報を引き出すのは厄介な問題である。通常エネルギーの固有状態とは定常波であり、それが二乗積分可能な波動関数の場合には速度v=0となる(補足)。しかし平面波は例外的な場合、つまり二乗積分が不可能な場合であるから、流れが存在しても良い。 波動関数の二乗が一定だからといってそれは速度v=0であるとは限らない。
まとめると、本質的に複素数の波である波動関数に対して位相速度を考えるのはどうもよろしくない。
なぜなら、位相速度を定義するために必要な波の山と谷の構造について「波動関数そのものは観測量ではない」という量子力学の立場から明確な意味づけが難しい。かといって絶対値の二乗を考えると位相がなくなるので位相速度が定義できない。つまり定常状態である平面波に対してその速度を定義する直感的な方法が見つからない。そしてそのことは平面波が二乗積分可能でないこととも関係している。
これで規格化可能な波束を考えればこの問題に関して答えが見つかるのではないか、波束を使ったら今まで見たきたような問題はすべて解決できるのではないかと期待が高まる。 実際に、私の知る限り波束を使うとこれらすべての問題が解決する。それでは教科書では何故波束をつかって説明されないのだろうか? そのような疑問を教授にぶつけたことがある。 そして答えは至って単純。
「計算が面倒だから」
ということらしい。 通常の平面波を使った計算でも答えは正しくでるので簡便法としてそれを受け入れているということである。
(補足)定常には二つの場合があり得る。一つは全ての力学量が静的である場合、そしてもう一つは流れが存在しているが時間的に揺らぎがない場合である。 静かな湖の水面は前者であり、それは時間的に全ての物事が止まっている状態。 そして緩やかに流れる大河の水面は後者である。水は流れても、流れが時間的に変化しなければやはり定常である。
一次元問題で二乗積分可能な波の場合、後者の意味の定常状態は考えられない。なぜなら確立密度が保存しつつ流れが存在する場合にはx=∞においてもやはり流れも確率密度も一定であるから必ず二乗積分は発散してしまう。例外は二次元以上で、流れが渦のように回り続けている場合である。
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