2017-08

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≪ カシミール効果(第二回目) ALL 本棚の一冊 「美しき凶器」 東野圭吾著 ≫

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カシミール効果(第三回目)

カシミール効果は二枚の導体板に挟まれた真空のエネルギーを計算する事によって得られる。 二枚の導体板によって電磁場の振動モードは特別な値に制限される。 この取り扱いは丁寧に解説するとかなり長い記事となるだろう。 この記事では問題設定を単純化してカシミール効果の本質だけを抜き出すように心がけたい。記事を書くにあたって以前紹介したA.Zee著の「Quantum Field Theory in nutshell」を参考にした。 

具体的な計算に入る前に、少し物理的な考察をしておこう。 結果の見えない計算をひたすら追ってゆくのはストレスである。 計算の前に次元解析から結果について言えることを調べておく。 ポイントを箇条書きすると

①この効果は量子力学と電磁気学に基づいた計算である。よって量子力学的な効果を示すh [ML2/T] と、電磁場の速度、つまり光の速さc[L/T]が現れる。
②板に働く力はそれらの距離dの関数だろう。
③二枚の板に働く力をその面積Sでわると圧力が得られる。それは力F[ML/T2]を面積 S[L2]で割った [M/(LT2)]という次元を持つ。

よって我々はh, c, a を使って圧力の次元[M/(LT2)]を作り出さなければならない。試行錯誤の結果

F/S ~ hc/a4 

を得るだろう。右辺の負号と比例定数を次元解析からは求まらない。 しかし具体的な計算からでてくる結果はこのような形をなるべきだと予想できる。 これだけの簡単な議論で答えの形が殆ど決まってしまうのは驚きである。 便利な方法なので、いろんな場面で是非使って欲しい。

具体的な計算に入ろう。 出発点は電磁場による真空エネルギーの式である。

E = [Lx∫dkx/(2π)] [Ly∫dky/(2π)] [Lz∫dkz/(2π)] { hc/2・ω(k) }

ここでω(k)=√[kx2+ky2+kz2]は波数kに対する角速度である。この表式がどのようにして導かれたのか、それを知るには電磁場の量子力学を丁寧に勉強する必要がある。 更にこの式には電磁場の持つ偏極の自由度を考慮する必要もでてくる。 結構面倒くさい。だからここではこれ以上この問題に首を突っ込むのは止めておこう。とりあえず、電磁場のエネルギーは上のような式で与えられるとしようじゃないか、細かい事は何かの専門書をみてくれよ、そういうノリである。 更にこのエネルギーの表式を受け入れたとしても、このままでは多少計算が面倒である。よってここでは空間の次元が1次元だとして、簡単な場合を考える。つまりkxkyの事は忘れて

E =[Lz∫dkz/(2π)] { hc/2・ω(kz) }

とするのである。 勿論ω(kz)=kzとなる。 積分領域はkz∈(0,∞)である。 整理すると

E =[hcLz/(4π)] ∫dkz kz

となる。 しかしこの式はこのままでは意味がない。なぜなら積分できないからだ。 真空エネルギーの発散の問題である。 カシミールは発散する真空エネルギーの表式から意味のある有限の値を巧みに引き出して「カシミール効果」の結果を得た。それを解説するのがこのシリーズのゴールである。後2,3回続きそうだ。 続きは、また・・・・・い つ か(笑)。

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