2017-09

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≪ 本棚の一冊 「美しき凶器」 東野圭吾著 ALL カシミール効果(第5回) ≫

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カシミール効果(第四回)

出発点は次のような真空エネルギーの表式である。

E =[hcd/(4π)] ∫dk k

これが1次元の場合のエネルギーであるが、実は積分領域が0≦k≦∞なのでこの積分は定義されていない。つまりこの式はどのように計算したら良いのか不明である。 ところで、真空に2枚の導板をz=0, d に置いた場合は、0≦z≦d における波の式はsin(n(π/d)z)のようになるべきである。 何故なら板のある位置で波が節を持つ必要があるから。ここで波の持つ波数はk=nπ/dのように自然数n=1,2,3、・・・の飛び飛びの値をもつ。よってエネルギーの式も

E(d) = [hcd/(4π)] (π/d)Σn (π/d) n

とnでラベルされた波数の自由度を足すことになる。 しかし波がz=0, dで節を持つべきであるというのは理想であって、実際には板を構成する物質の原子サイズの波にとってみれば、板なんてスカスカの壁に見えることだろう。つまり短波長の波には板は何の境界条件も課すことができないと考えるのが自然だろう。 よって波数に関する足し合わせは

E(d) = [hcd/(4π)] (π/d)Σn (π/d) n e- a(π/d) n

とするべきである。 指数関数は原子サイズa[m] より細かい波が物理的なエネルギー寄与しないことを考慮する因子である。 

この和は計算できて、

E(d)=[hcd/(4π)] (π/d)2 [e- a(π/d) /(1- e- a(π/d) )2]
= [hcd/(4π)] [ 1/a2 - π2/(12d2) + O(a2) ]

最後の式は二枚の板の距離dに比べて、波長の最小サイズa は小さいという状況でテイラー展開をした。 さて、計算はここまで。少しやってきた事を振り返ってみよう。 先ずE(d)の係数にある「hcd」のhは量子効果から(つまり出発点のEが量子力学から導かれる式であること)、cはエネルギーを担うものが電磁場であることからくる因子である。これは前回の次元解析と同じである。 そしてdはエネルギーが2枚の板の距離に比例する事から理解できる。 エネルギーは空間のサイズに比例する、これは熱力学でいうところの示量性である。 そして括弧の中の第一項1/a2は2枚の導体板がエネルギー和に寄与する波の波長を a <λ<∞ に制限することからくる。aをゼロにすれば、全ての波長をエネルギー和に取る事になるので、板がない場合の話に戻ってしまうので当然発散する。


ここでは「aという波長の最小値を入れておけばエネルギーは有限になる。a→0の極限は全ての波長をエネルギー和に入れてしまうので発散する。」ということを覚えておく。 この発散がどうなるのかというのは次回やる。 とりあえずここまで。

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