2017-04

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カシミール効果(第5回)

カシミア・エネルギーの記事です、だらだらと進んでますが、第5回目になりました。
ブログ上で見やすく書こうと思うと、一つ一つの記事がどうも短くなってしまうのです。


前回は真空に置かれた2枚の導板によって電磁場のモードが特定の値に制限されるということを説明した。導板の存在によって、z=0,dの位置で波は節を持つべしという境界条件が課されるのであった。 しかし一方で、導板も原子レベルで見ればスカスカの物体、あまり細かい波長に関してはこのような境界条件は存在しない。 つまり板の存在によって影響を受けるのは波長の長い波だけである。 波長の長いモードに関して、そのエネルギーへの寄与を計算すると、エネルギーを距離dの関数として

E(d) =  [hcd/(4π)] [ 1/a2 - π2/(12d2) + O(a2) ]

を得る。ここでaは大雑把に言って導板を構成するミクロな物質のサイズ。 波長がa程度以上のモードまでエネルギー和に入れたことになっているが、aをゼロに持っていく極限をとれば、全ての波長がエネルギーの和に入ってくるために発散する。 
さて、このエネルギーの式、dを無限に大きく取ると、第一項だけが残り

E(d→∞) =  [hcd/(4π)] 1/a2

となる。 2枚の板の距離を大きくすると、それに比例してエネルギーは大きくなってゆく。 二つの板に相互作用が働かない程dを大きくとっても残るエネルギーE(d→∞)、これは一体なにを意味するのだろうか? とりあえずこのエネルギーをEa(d)として

E(d) = Ea(d) +  [hcd/(4π)] ( - π2/(12d2))

と書く事にする。 さて、ここまでは2枚の板に挟まれた空間に着目してきた。 しかし、我々が板を設置する以前にも真空にはエネルギーが充満していたはずである。そのエネルギーは何処へいったのであろうか? 板を設置する前のエネルギーを計算するには出発点にもどって、E =[hcd/(4π)] ∫dk k を使えばよいだろう。我々は波長のある程度長い波の効果だけに着目しているので、exp(-ak)という因子を導入して、波長の長い波の効果だけを取り出す。

E0(d) = [hcd/(4π)] ∫dk k exp(-ak) = [hcd/(4π)] (1/a2) 

これはEa(d)に一致する。 導板が設置される以前には、これだけのエネルギーが真空に蓄えられていたわけだ。 しかし、蓄えられているといっても、これは人間が取り出して使えるようなエネルギーではない。 よって我々が測定する事ができるエネルギーは真空が本来持っているエネルギーE0を基準にして測るべきではないかと予想される(この点は次回以降、丁寧に考える)。 

Ephys(d) = E(d) - E0(d) = [hcd/(4π)] ( - π2/(12d2))

このようにして真空が本来持っているであろうエネルギーを引き算してみて初めて、人間が操作できるエネルギーが得られると考えるわけである。 そしてそれこそが測定可能なエネルギーであるとする、このような操作を繰り込みと呼ぶ。 さてエネルギーを測定するには、エネルギーと力の関係式

F = -d/dx Ephy(x)

を使えばよいであろう(微分のdと微小距離のdが重複してしまうのでxとした)。 この関係式より板の間の距離がdの場合、二枚の導板に働く力は

F(d) = [hc/(2π)] ( - π2/(12d3))

となる。 これこそが真空中におかれた2枚の導板に働く量子的な効果、所謂カシミール効果と呼ばれるものである。この問題では力は負になった、つまりこれは引力である。 因みに、答えの式を前回の次元解析の結果と比較すると距離dに関する冪が2乗だけずれている。 これは問題設定を1次元にしたことによって、力を面積Sで割る必要がなくなったためである(一次元では力と圧力は同じ)。

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