2017-06

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≪ レーザー冷却(ドップラー冷却) ALL 光学定理 ≫

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3次元調和振動子

「3次元調和振動子を解きなさい」

そんな問題つまらなくてやるだけ時間が勿体ないという意見。 特に異論はない、確かにその通りである。デカルト座標で変数分離されてしまうのだから、一次元調和振動子の知識以上のものは何もない。 しかし、考えようによってはつまらないくらい簡単な問題こそが、何かの役に立つこともあるだろう。 

そんな感じで、今回は3次元調和振動子を極座標で解いたらどうなるかということをやってみる。分っている人には当然な問題、しかし角運動量という概念にいまいち馴染めないという人には有用かもしれない。
まず、変数分離の方法から復習しておこう。 一次元調和振動子のハミルトニアンは

Hx =1/2 px2 +w/2 x2

である。3次元の場合には

H=Hx + Hy + Hz

となるわけだが、そのシュレディンガー方程式は

H Ψ = E Ψ

である。波動関数を変数分離するというのはΨ=X(x) Y(y) Z(z) と各変数ごとに波動関数X, Y, Zが存在して、それらの積で全体の波動関数を作る方法である。これは完全系による展開という意味を持つが、ここではそういったことを無視して、答えが得られればとりあえず良しとしよう。

兎にも角にもΨ=X(x)Y(y)Z(z)と置いてみよう。またはハミルトニアンHyはyに関する微分演算子pyを含むので波動関数Y(y)には作用するが、X(x)やZ(z)に対しては何もしない。つまり

H X(x) Y(y) Z(z) = X(x) Z(z) HyY(y)

と関係ない波動関数はハミルトニアンを通り越して左に纏めて良い。 このことを使い、更にシュレディンガー方程式の両辺をX(x)Y(y)Z(z)で割ると

X(x)-1 Hx X(x)  + Y(y)-1 Hy Y(y)  +  Z(z)-1 Hz Z(z) =  E

となる。左辺の各項はxだけの関数、yだけの関数、zだけの関数であり、それらを足してx、y、zによらない定数Eになるためには、各項がそれぞれ定数である必要が生じる。つまり

X(x)-1 Hx X(x) =定数 → Hy Y(y) = Ex 

(y, zに関しても同じような式がでてくる)

ここでExはx軸方向の微分方程式に付随した定数で、同じような式がyとzに関しても成立する。全エネルギーは

E = Ex + Ey + Ez

である。 一次元シュレディンガー方程式を3本解いて、それらの波動関数を掛けてしまえば全体の波動関数となる。以上の考察より、波動関数は

Ψ(x,y,z) = Xi(x)Yj(y)Zk(z)

E= hw( i+1/2) +hw(j+1/2) + hw(k+1/2) = hw (3/2+ i + j +k)

である(一次元の調和振動子問題より i, j, k は正の整数)。 さて本題の、この問題を極座標で解いたらどうなるか?である。最も単純には、3次元のシュレディンガー方程式を極座標表示で解くことだが、ここではΨ(x,y,z)から極座標表示に移ってみよう。
ここでは一般論ではなく具体的にやってみる。 先ず基底状態はi=j=k=0であろう。エネルギー最少だから。 また一次元の場合の調和振動子解は一般にはエルミート関数を使って書けるが、ここでの具体例には

X0(x) = exp(-x2/2)
X1(x) = exp(-x2/2) x

を知っていれば十分である。さて基底状態の波動関数 i = j = k = 0 を作ると

Ψ0 = X0(x) Y0(y) Z0(z) = exp(-r2/2)

r2 = x2 + y2 + z2である。第一励起状態は i, j, k の一つだけが1でその他が0となる場合である。 3通りの波動関数が可能である。 一般にそれらの線形結合があり得るので( Ψi,j,k≡Xi Yj Zkとして)

Ψ1 = Ax Ψ1,0, 0 + Ay Ψ0,1, 0 + Az Ψ0,0, 1

が第一励起状態の一般形である (Aは定数)。つまり、n = i+j+k = 1の第一励起状態はAx, Ay, Azに対応して3重に縮退している。 具体的な波動関数をいれて整理すると

Ψ1 = exp(-r2/2) (Ax x + Ay y + Az z ) = exp(-r2/2) r [ (Ax cosφ + Ay sinφ] sinθ + Az cosθ )

更にオイラーの公式, cosφ=(e+e-iφ)/2 と sinφ=(e-e-iφ)/2i , を使って

Ψ1 = exp(-r2/2) r [ (Ax-iAy)/2 sinθe + (Ax + iAy)/2 sinθe-iφ + Az cosθ )

と書ける。これらは3次元の球面調和関数のl=1の場合のm=-1,0,1の和である。つまり

Ψ1 = exp(-r2/2) r [ A+ Y1,1(θ,φ) + A- Y1,-1(θ,φ) + A0 Y1,0(θ,φ) ]

Y1,±1(θ,φ) =sinθe±iφ

Y1,0(θ,φ)=cosθ

とも書ける。 微分方程式をどのような表現を用いて解いても答えは本質的に同じである。ただし、微分方程式を解く際の初期条件や境界条件などといった付加的な条件が異なるので、その分の違いが答えに量子数の選び方という形で入ってくるわけだ。 具体例にもどってみると、デカルト座標のシュレディンガー方程式の問題ではx、y、zに関する無限遠点での境界条件を課した。これは各座標方向のエネルギを量子化した(保存量として選んだということと等価)。一方で極座標のシュレディンガー方程式はr=0、∞での境界条件とφ、θに対する周期性を課したわけで、これは角運動量lと磁気量指数mを保存するような表現である。 もちろんどちらの方法も、適当な重ね合わせでお互いに等価は波動関数を作り出すことができるのでどちらの表現を用いても同じ物理を記述できる。

誤字脱字が沢山あるだろうが、取りあえず公開とする。

ちなみに3次元調和振動子のn=1の励起状態は、l=0の状態がない。l=0の状態は偶数のnに付随して現れ、奇数のnにはl=0が存在しない。 これは各nに対してl=0が存在するクーロンポテンシャル問題とは異なる。

コメント

dyneさんへ

コメント有難うございます。

記事を読んでくれる人がいるというのは嬉しいですね。
そういえば、光学定理のほうも書きかけでした。ちゃんと
最後まで書きあげないとだめですね、中途半端ってのはよくないな・・・
と思いつつ・・・。

はじめまして。以前から楽しく読ませていただいておりました。

物理はかじりかけている程度のお粗末なレベルですので、
3次元調和振動子については考えたことがなかったのですが、
この記事はとても興味深かったです。
わりと単純な式変形で角運動量で量子化された固有関数が
導けるんだと感動してしまいました。
(きっと、ご説明が上手だからだと思いますが)

考えてみれば、3次元調和振動子は中心力ポテンシャルなので、
角運動量が保存されるんですね。
記事の最後の「ちなみに」以降も、なぜそうなるんだろうと
とても興味深いです。
光学定理の記事も楽しみにしております。

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