2017-03

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≪ 「可算 」 ― 数える ALL 対称テンソルの独立な成分の数 ≫

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光学定理 2  - 連続の方程式 -

散乱問題で基礎的なことは、「確率は保存する」または「粒子の数は保存する」ということである。今回は確率密度と連続の方程式について復習しておこう。

簡単な場合から始める。 先ずは自由粒子である。これは良く知っており、波動関数は

φ(x) = exp(ikx) exp(-iEt), (但し E = hk2/2m)


と表される。これはシュレディンガー方程式

id/dt φ(x) = H φ(x),

を満足する。H = (-id/dx)2/2m は自由粒子に対するハミルトニアン。この波動関数には、運動量p=hkを持った粒子が空間に一様に流れているという物理的な描像を与えることができる。それには j(t,x) = 1/m Re(Ψ(t,x) (-id/dx)Ψ(t,x)) なる確率密度流を考えて d/dt |Ψ(t,x)|2 = -d/dx j(t,x) という連続の方程式から出発する。ここで |Ψ(t,x)|2 は電子の存在確率に対応しており、電子密度とみなせる。また、連続の方程式は「存在確率は、流れ出た確率の量に比例して減少する」を意味していたことを思いだそう。

つまり自由粒子に対して

ρ(t,x) ≡ |Ψ(t,x)|2 = 1 (最後の式は自由粒子解),

j(t,x) ≡ 1/m Re(Ψ(t,x)(-ih d/dx)Ψ(t,x)) = hk/m (最後の式は自由粒子解)

という量を考えると、それらが連続の方程式 d/dtρ(t,x) = - d/dx j(t,x) を満足する。ここでρとjの定義式は一般に成立するものであるが、最後の式は自由粒子の波動関数解を使って具体的に計算した場合のものである。我々は連続の方程式を拠り所にして「確率は保存する」こと、そして更に進んで確率密度ρ(t,x)に対して確率密度流j(t,x)という流れが存在することを知った。これは自由粒子のように規格化できない波動関数に対しても物理的な意味づけが可能であることを教えてくれる。

ところで、自由粒子の場合ρ(t,x)の時間微分もj(t、x)の空間微分もゼロなので、連続の方程式は当たり前すぎてその有用性がはっきりしない。本来なら波束をつかってρやjを調べてみるべきだろう。しかし連続の方程式は自由粒子に限らず一般に成立するのだから、波束を使った計算でも同じ結論になるであろうと納得することができる。連続の方程式の一般的な証明は次のようにやる。

d/dx j(t,x) = 1/2m d/dx [Ψ(-ih d/dx) Ψ + Ψ(+ihd/dx)Ψ ]  

       = ih/2m [ Ψ (-(d/dx)2) Ψ + Ψ ((d/dx)2) Ψ]

       = i/h [Ψ (ih d/dt Ψ) - Ψ (ih d/dt Ψ) ]  
       
       = - [Ψ d/dt Ψ + Ψ d/dt Ψ]
 
       = -d/dt ρ(t,x)

2行目にいく際 d/dxを括弧内の二項に演算した、三行目は -(d/dx)2Ψ(t,x) = (H-V)Ψ と書けることとポテンシャル項が第一項と二項目で相殺することを使い,更に HΨ=id/dtΨ によってHΨを時間微分へと置きかえた。この計算によって、確率密度と確率密度流に関して連続の方程式が一般的に成り立つことが示された。

定常状態とは波動関数が時間に依存しないことであった。つまりd/dtρ(t,x)=0。それは連続の方程式より確率密度流が空間的に一様であること,つまりd/dx j(x)=0を意味する。微分してゼロからj(x)=定数であるが、規格化可能な波動関数に対してはj(x)そのものがゼロであること,j(t,x)=0を意味する。これは規格化可能な波動関数では流れが存在するような状況を扱えないことを意味している。このままでは散乱問題などは扱えないことになる。それではつまらない。このジレンマから逃れるには、「定常状態であること(=時間によらない波動関数を考えること)」を捨てるか、「規格化可能な波動関数」を諦める以外に方法はない。第一の方法は波束を作って系の時間発展を具体的に追ってゆくものであり、第二の方法は規格化可能ではない波動関数を用いることによって散乱問題を定常状態のシュレディンガー方程式の枠内で扱うものである。実際には時間発展を追う方法は難しすぎるので、第二の方法がとられることが多い。その場合であっても連続の方程式が規格化不可能な波動関数に対して物理的な描像を与える。

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