2017-08

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≪ 物理の心? その4 ALL 物理の心? その6 ≫

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物理の心? その5

「物理の心は対称性である」と第一回の記事で書いたことについて説明して、このシリーズの最終回としたい。また新しい理解が得られたときには続編を書くかもしれないが、とりあえずこの辺で一区切りつけるのが良いだろう。

ところで「対称性」という言葉が出てきたが、まったく説明してないのではないかと不満に思われる読者もいるだろう。実はこれまで、対称性という言葉を意図的に避けてきた。対称性とはもともと数学用語であり、この概念が物理で重要だと認識され始めたのは、有名なネイターの発見によるものが大きいのではないだろうか。歴史上稀に見る女性数学者/物理学者(?)であり、その仕事は最高級の評価を与えられているのではないだろうか。彼女は素晴らしい数学者であったが、その人となり、育った環境や教育、私は非常に興味がある。
話を戻そう、対称性であった。これまで対称性という言葉を使わずに話を進めてきたが、実は前回説明した「普遍性」という言葉が対称性とほぼ同じ意味なのだ。しかし対称性という用語の方が一般に良く使われているので、以後対称性ということにしよう。 前回の話に戻って対称性という言葉をもう少し詳しく説明したい。二個の球が下図のように動き出したとする。これは普遍性の条件と合致しないのであった。
butsukoko08.gif

なぜなら、上図を裏から見た図は下のようになる。
butsukoko09.gif

これは上の図と違う運動のように見える。二つの球の置かれている平面はテーブルとかガラスの上ではなく、仮想的な平面を頭の中で考えているだけなのだった。この平面には本来表裏の区別は無かった。 そこで二つの球の仮想実験をする。球が動き出すまでは裏表の区別はない。しかし球が動き出したとたん、ある方向だけが特別になってしまう。そして我々には表裏を知る手立てがない以上この物理法則は神様の気分で決まるといってもよいだろう。ある日は右、ある日は左に動き出すのだ。これはおかしい!全知全能の神がいて、彼(彼女?)だけがこの仮想平面の表裏の区別を知っているのだ。こんな状況に出会うと物理学者はこういう
「これは表裏対称性が成立しないからおかしいんだ。つまり実際には起こらない現象さ。」物理学者は全知全能の神を信じない、全知全能なのは物理法則なのである。一寸かっこよく良い台詞である、「対称性が成立しないから起こらない」。物理学では神様よりも上に対称性がある。

さて、次の図はどうだろ。
butsukoko10.gif

やはり裏から見た図
butsukoko11.gif

これも裏表対称性が成立しないから、実際には存在しないのだ。この図はまた別な見方もできる。表("Up"のある面)から見るのだが、見る方向が違う。これは上の図を180度回転させた図だ
butsukoko12.gif

この180度回転させた図は、元の運動と見え方が違う。こんな時は「180度回転対称性が成立しない」という言い方をする。つまり対称性とは見る角度や方向が異なる時に同じにように見えるかどうを問題にする用語なのだ。だから色んな対象性がある。90度回転対称性、上下引っくりかえし対称性などなどである。そんなに色々な対称性がいろいろあるなら、どの対称性に着目して球の運動を調べたらよいのかと疑問に思う人もいるだろう。そこで対称性の使い方を少し注意しておこう。先ずは言葉の定義だが、物理学では対称性が成立しないときに「対称性が壊れる」又は「対称性が壊れている」という。変な言い方だが普及しているので仕方ない。そして大事なことは

対称性とは理由なくして壊れないものである

と仮定するということである。この仮定は今のところうまくいっているようである。そして実験をするときにある対称性が存在するなら、実験結果もその対称性を反映しているということだ。具体的に説明するために最初の図に戻ろう。
butsukoko13.gif


実験を始める際、二つの球の配置は図のようだった。この図は90度回転対称性というものは初めから存在しない。つまり90度回転させると、球の配置が異なることになる。
butsukoko14.gif


90度回転対称性は二つの球が置かれた時点で壊れているのである。よって球に働く力を調べるときに90度回転対称性を持ち出してもしかたが無い。この対称性からは何も有益な情報は得られないのだ。2個の球を置いた時点で成立している対称性を考えるべきだ。例えばそれは180度回転対称性である。
butsukoko15.gif

これなら球の配置に対しても成立している対称性といえるだろう。つまり球の運動を測定する前には180度回転対称性があり、二つの球がなんらかの力によって動き出した後でも180度回転対称性は成立するはずだということだ。

実際に自然界に起こる現象はこのように対称性を尊重しているようだ。2個の球の例でいうなら、万有引力や電気的引力は180度回転対称性を壊さない。引力と斥力の方向を図に書き込み、180度回転させてみると明らかだ。180度の回転前と後で区別がつかない。理由は分らないが自然は対称性を壊さず、むしろそれらを尊重しているのだ。実に不思議な考え方だが、対称性は現代物理学の最も重要な発見であろうと思われる。

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