2017-09

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膨張宇宙でのドップラー効果1

我々の宇宙は膨張しているらしいです。なぜそんなことが分かるんでしょうか。
膨張していることを確認するために誰か宇宙の果てまで行って、
「嗚呼、確かに宇宙は広がっている!」
とその目で確認してきたのでしょうか。いえいえそうではありません。
宇宙の果てへなんて行くことはできません。それじゃ、なぜ分かったんですか?
うーん、不思議ですね。それは光のドップラー効果を観測することによって
分かったのでした。光は音に良く似た性質をもっています。音のドップラー
効果を使って説明してみましょう。

宇宙のあらゆる方向から聞こえてくる音楽を聴いてみましょう。
例として、全ての銀河からベートーベンの第九が聞こえてくるとしましょう。
ベートーベンは宇宙で愛される名曲なのです。あれ、でもちょっと変ですよ。
あの10音年(音が届くのに10年かかる距離)離れた銀河から
聞こえてくるベートーベンは音程が狂っています。我々が知っている
第九よりも低音なのです。まあレコード(CD?)が壊れていたのでしょうか。
あれ、もっと遠くの星、20音年離れた銀河からはもっと低音へずれた
第九が聞こえてきます。遠くの銀河から届く第九ほど低音へのズレが大きい。
これが系統的に起こっているとすれば、それは単なる偶然ではありません。
なにか理由があるはずです。

遠くへ離れた銀河から届く第九ほど低音へずれるという観測事実を説明する
ための理論はあるのでしょうか?。頭を悩ませていると、誰かが閃くのです。
これは音のドップラー効果! 遠くの銀河ほど高速で我々から遠ざかっている。
だから遠くの銀河ほど音程が低音へずれているんだと。 一つの仮説です。
(ドップラー効果:遠ざかってゆくサイレンの音は低音へずれて、
近づいてくるサイレンは高温へずれること)

さらに、我々の銀河だけが特別ではないとしたら、他の銀河から我々の銀河
を観測すれば同じ事が起こっているでしょう。つまり、我々の銀河も他の
銀河から見れば遠ざかっている。すると、全ての銀河がお互いに遠ざかって
いると考える方が自然だという結論に達します。

そしてアインシュタインの作った相対性理論はまさに我々の宇宙が広がって
いるという事を重力の理論として説明するのです。宇宙空間が広がっている
わけです。で、その空間に分布している銀河も空間と一緒に広がる、これが
相対性理論が説明する宇宙の膨張なのです。
銀河は遠くへいけば行くほど高速で遠ざかっているという実験事実(ドップラ
ー効果による説明が正しいとしての話ですが)、そしてそれを自然に説明する
アインシュタインの重力理論。この二つががっちりと結びつき、現在「宇宙
は膨張している」という考えが一般的になっています。







ここからは、光のドップラー効果を数式をつかって説明したいと思います。
光源や観測者が速度をもっている場合のドップラー効果は前回やりました。
ここでは宇宙膨張によるドップラー効果というものを説明したいと思います。
数式を使いますから、理解には多少の努力が必要です。宇宙論 or 相対性理論
の標準的な本には必ず説明されていますので、その辺を参考にしてください。

アインシュタインの重力の理論では時空の2点間の相対論的距離dsは

ds2= gμν dxμ dxν

と表され、ここで現れるgμνが空間のゆがみ具合を表す計量
といわれる量です。ここら辺の議論は専門書などを参考にしてもらいたいと
思います。され、この2点間の距離を決定する時空の計量はどのように決ま
るのでしょうか。これは一般的に非常に難しい問題で、通常は我々の宇宙は
一様で等方的であると仮定して時空の計量の形を制限してから議論を始めます。
詳細は省きますが、結果としてロバートソンとウォーカーの計量と呼ばれる
次の形が導かれます。

ds2=(cdt)2 - a(t)2 [ dr2/(1-Kr2)+r2 (dθ2+sinθ22) ]

ここでKは空間のゆがみ具合を表すパラメーターです。以下では遠くの銀河
から飛んでくる光の奇跡を考えますから、dθ=dφ=0としてr方向の運動だけ
を考えます。また我々の宇宙では、空間のゆがみは小さく、K=0とおいて計算
すれば良いことになります。これらの事を考慮すると、我々の計算に必要な
相対論的距離は





       ds2=(cdt)2 - a(t)2 dr2        


と随分簡単になりました。ここで現れたa(t)というのがスケール因子と呼ばれ、
我々の宇宙の膨張を表すものです。我々の宇宙ではこのa(t)が時間と共に大きく
なっているというのが宇宙膨張の結論です。なぜなら、2点間の距離のdr方向
だけに着目すると2点の空間的距離が分かりますが、それは

二点間の空間的距離= a(t) dr

のようにdrのa(t)倍だけ大きくなります。我々が銀河の距離を測るために設定した
物差しの目盛りは、2点間の距離を正しく表しておらず、実は時間と共にa(t)の分
だけ増大しているのです。

良くあるたとえとして、ゴムでできた良く伸びる物差しが有ったとします。
この物差しにはcmで長さを測るための数字が刻んであります。もちろん伸ばして
いない場合には、2の目盛りは2cmの距離、10の目盛りは10cmの距離を正し
く測る事ができます。このゴムの物差しを引っ張って伸ばすと、2の目盛の位置は
原点からの距離が2cm以上になってしまいます。
ゴムの伸びはどこでも一様だとすると、2の目盛りが実際には原点から4cm離れて
いる場合のスケール因子は2で、そのときには4の目盛りは4cm×2=8cmだけ
距離が離れています。全ての目盛りの位置はスケール因子の2を掛けてやれば正しい
距離が分かります。もっと伸ばした場合にはスケール因子も変わります。よって
実際の距離は、目盛りの数値にスケール因子を掛けた値だという事になります。

長くなりそうなので記事を二つに分ける事にしました。
続きの記事も読んで下さい。


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