2017-06

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≪ 今でも輝きを放つ名曲たち 9 ALL 映画「The有頂天ホテル」 ≫

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膨張宇宙でのドップラー効果3

なんだかいつも記事を書き始めると予想よりもながくなります。
あまり気合いを入れすぎると構想を練るのに疲れて、結局書かずに
終わるという事もたびたび。既にこのネタで二つも記事を書いたので
そろそろ店じまいをしなければなりません。

さて、宇宙膨張による波長の伸びの本質はドップラー効果のなのですが、
数式を使って理解してみましょう。




      cdt = -a(t) dr          
          


この式を積分すれば光の軌跡が分かります。それには dr = -c/a(t) dtとして、
両辺で積分記号をつければよいのですが、結果は

∫dr = -∫ c/a(t) dt

となります。左辺の積分の範囲は光の放射される位置r0(t0)から,観測位置r(t)=0,
右辺では放射時刻のt0から観測時刻のtまでとなります。 a(t)に前回やったような具体的な形を入れると直ぐに積分できてしまいますが、
ここでは一般論で進んでみましょう。

r0(t0) = ∫[t, t0] c/a(t) dt

この方程式は時刻t0に放射されて、時刻tに観測者へ到着した光に対する
ものです。放射の時刻を少しずらした場合はどうなるでしょうか。 t0 + δt0にr0を出発して時刻t+δtに観測された光なら

r(t0+δt0) = ∫[t+δt, t0+δt0] c/a(t) dt

となるはずです。これらの二つの式の左辺は同じ値になっています。時刻はδt0だけ
違いますが、位置としての値はr0となっているべきですから。二つの式の引き算を取ると

0 =  ∫[t, t0] c/a(t) dt - ∫[t+δt, t0+δt0] c/a(t) dt
 =  ∫[t0+δt0 , t0] c/a(t) dt - ∫[t+δt, t] c/a(t) dt
 = [ c/a(t0) ]δt0 - [ c/a(t) ]δt

速さcに時間δt0を掛けると、微小時間に進む光の距離がでます。
放射された直後の微小距離 cδt0 の広がりには、光の振動が幾つか
詰まっていますが、同じ数の振動が観測地点ではcδtの範囲に詰まっています。δtを一つの波
が詰まるまでの時間にとればcδt0は発射時点での波長の長さに等しく、
cδtは観測点での波長になります。つまり

この式を




      (cδt)/ (cδt0)= λ(t)/λ(t0) = a(t)/a(t0)          
          

と書く事ができます。

この式に我々の宇宙でのスケール因子の時間的振る舞いを代入すれば、
宇宙膨張による赤方偏移の式が得られます。我々の宇宙では時間と共にスケール
因子はどんどん大きくなりますから、時刻が経つほどに光の波長はλ(t)/λ(t0)
=a(t)/a(t0)に従って伸びてゆきます。つまり光を発射する
銀河が宇宙膨張で遠ざかっている事によるドップラー効果と、光が空間を伝搬してゆく
過程でされにドップラー・シフトをうけることによる二つの効果がある事になります。
このために、宇宙膨張による赤方偏移は通常のドップラー効果と区別すべきだという
意見もあります。

空間というものは光を伝える場であるわけですが、それは光を瞬時に吸収して
すぐさまそれを放出する、それによって光が空間を伝搬してゆくというような
イメージをもったとしたら、どうでしょう。空間は宇宙膨張に対応して広がっ
ていきます。そして光を吸収し放出するという意味での空間の各点は、それらは
光源でもあるわけですが、空間の各点各点は宇宙膨張のためにお互いに後退して
います。このように考えると伝搬中でのドップラー・シフトも通常のドップラー
効果の延長で考える事ができます。つまり膨張による赤方偏移さえもドップラー
効果として直感的に理解できます。しかし、このアナロジーがどこまで正しいの
かはじっくり考えてみなければなりません。
物理的なイメージを持つ事は良いことですが、何処かで破綻してしまう可能性も
あります。よって最終的にはやはり数式を使った理解というものをしっかりとフォ
ローしておく必要があります。

これで宇宙膨張による赤方偏移を終わりにしたいと思います。ここまで説明
して応用をやらないのはなにかもったいない気もしますが、それはまたいつ
の日にか。

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