2017-07

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≪ 宇宙論ノート その1 ALL 隣の芝生 その1 ≫

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宇宙論ノート その2

我々のいる点を原点にして極座標で距離を書くのが便利である。

x=r sin[θ] cos[φ]
y=r sin[θ] sin[φ]
z=r cos[θ]

通常のユークリッド空間であれば

dsE2ijdxidxj=dx2+dy2+dz2=dr2+ r2 (dθ2 + sin[θ]22 )

となるところだ。この場合我々が半径r=一定の赤道面でぐるっと一周すれば距離は2πrである。赤道は θ=π で dr=0, dθ=0 であるから

∫ds= ∫r sin[θ]dφ=sin[π]×2π r

とやって移動距離を計算した。これは当たり前なのだが、あとあと曲がった空間で同じ事を試してみるので、覚えていて欲しい事だ。


半径rの赤道面でぐるっと一周すると移動距離は 2π×r
一般の計量をもった空間では、距離は

ds2=grrdr2+gdr dθ+gdr dφ+gθθ2 + … =gijdxi dxj

である。xyz座標から変数変換をしただけなのだが複雑な係数はgの中に吸収して、それらを grr とか g と書いた。最後の表式は以前と同じだが、iやjに入るのはx、y、z という座標ではなく r,  θ, φ である。さて、一般的な計量を極座標で書いてみたところでなにも有益な情報は得られない。しかし現実の宇宙を記述する計量はもっと簡単なものかもしれない。例えば、計量gijは殆んどの ij に対してゼロで,特定の成分だけが残るかもしれない。これならば計算が楽になるだろう、いいアイディアだ。そこで現実の宇宙を記述する計量とは何ぞや?という疑問がわく。

夜空を眺めると星の分布には規則性はなくランダムに分布してるだけではないかと思う。この宇宙には特別な場所など存在せず、何処も彼処も同じ様なものだろうと考えるのは自然ではないだろうか。そこで

「宇宙は均一で等方的だ!」

と言ってみる。もちろん宇宙は完全に一様ではないが、小さな揺らぎには目をつぶって一様等方宇宙で近似してみようという事である(補足)。 最初から細かいことを言うなよ!という開き直りである。結果を見て現実的な宇宙の様相と異なる場合には考え直そうという下心もある。しかし単純な事から複雑なことへと進むのは非常に成功している方法である。いきなり、「現実は複雑だ」といっても先に進めない。


さて宇宙が一様で等方だと仮定すると計量にある程度制限がつく。制限というのは、特定の成分、例えば g=0 などが言えるというだ。細かい議論はすっ飛ばして、結果だけ書くと

ds2=dr2+ sin[r√K]2/K [2+sin[θ]22]

と,ここまで簡単になってしまう。角度に依存した部分を dl2(θ,φ)≡dθ2+sin[θ]22 と書き、dl2(θ,φ) の前にある因子を SK≡Sin[r√K]/√K としよう。距離の定義はこれらを用いて

ds2=dr2+ SK2dl2

となる。SKの因子を除けば、dlは動径座標rを固定して移動した場合の長さを示す。例えば r=一定、φ=一定の条件でθを0~2πだけ変えると、移動距離は

∫dl = ∫dθ =2π 

もちろん r=一定、θ=一定の条件でφを0~2π で計算すると、

∫dl = ∫sin[θ]dφ = sin[θ] 2π

となる。 地球儀を赤道よりθだけ上でスパッと切断すれば、切断面の円周はsin[θ]だけ短くなるという事を言っているだけだ。そしてこれらのSKをかけた値が半径r を固定して赤道を一周したときの移動距離である。ここでSKはθ、φに依存しないので円周積分を行った後に掛け算を行うだけで良い。つまり赤道を一周した距離はKに依存して


赤道一周距離 = 2π SK(r)


となり、最初にやったユークリッド空間の値とは異なるわけだ。
K=0ならSK=r なので、この関係式は2πrとなり最初にやったユークリッド空間での半径と円周の関係だ。K>0なら

赤道一周距離 = 2π sin[√K r]/√K < 2πr ~ 0 (r=∞)

となり、遠くへ行けば行くほど円周は小さくなる、そしてr=∞ではゼロになる。つまり宇宙の彼方 r=大では何処にいても大して離れていないことになる。r=∞ではθを変えても移動距離はゼロである事から、宇宙空間はどんどん狭くなっている、しまいに一点につぶれているという事だ。これを閉じた宇宙という。

K<0なら √K=i√|K|となるから

赤道一周距離 = 2π sinh[√|K| r]/√|K| > 2πr ~ ∞(r=∞)

となり、r=大では赤道一周の距離は2πrより長く、その長さはe√|K|rで急激に大きくなる。つまり遠くに行けば行くほど、宇宙は広がっている。これを開いた宇宙と呼ぶ。K=0も平坦な宇宙であり、無限まで広がっているという意味では開いた宇宙といえなくもないが、ここで言う開いた宇宙というのはr→∞でユークリッド空間よりも急激にひろがるという意味である。


まとめよう。一様等方宇宙の距離は

ds2=dr2+ SK2dl2

SK = sin[r √K]/√K

で与えられKは宇宙の曲率と呼ばれる。Kは空間の広がり具合を表すパラメーターで、Kの正負に応じて


K> 0 (閉じた宇宙)
K = 0 (平らな宇宙)
K< 0 (開いた宇宙)

開いた、平ら、閉じた宇宙とよぶ。


補足 一様というのは、どの場所でも同じという事である。一様なだけでは、「ある特定の方向へ全ての銀河が速度vで運動している。」ような一様な運動も考えなくてはならない。これに等方性の条件を加えれば、ある方向への運動というのは許されなくなるので、宇宙のあらゆる位置で銀河の分布は同じであり、全て銀河が”止まって”見えるような状況を考えることになる。それで、我々はどの場所でも同じで、何処を向いても宇宙が同じようにみえるという一様等方な状況を設定して問題を簡単化したわけだ。

コメント

そうですね

とりあえずここは言葉の定義だと理解してます。曲率と宇宙が有限かどうかはある程度関係はしているでしょうが、別物だと思っています。たとえば、平坦でも、x方向y方向へ周期的な時空をかんがえると有限時空だとか・・・。

いまだに K = 0 や K< 0 を無限の空間だと書いてる本や教科書がありますが、有限で閉じてる可能性もあるんですよ。
たとえばトーラス (ドーナツ表面) を4次元空間に入れて曲率一定にすると K = 0 の有限曲面になります。(3次元空間内では不可能)
2つ穴ドーナツ表面で同じ事やると K< 0 有限曲面になります。(3次元多様体でも同様)

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