2017-10

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≪ 新装版 現代物理学の基礎5 統計物理学 ALL 熱力学を学ぶ人のために 芦田正巳著(オーム社) ≫

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ボルツマンの原子-理論物理学の夜明け- デヴィッド・リンドリー 松浦俊輔訳



ボルツマンの原子ー理論物理学の夜明け、David Lindley著 (松浦
俊輔訳) 青土社出版。ボルツマンについてはあまり良く知らなか
ったし、特に強い興味がわくようなカリスマ的なものを感じるわ
けでもないが、タイトルに惹かれて読み始めた。

ボルツマンの仕事として有名なH定理やエントロピーの統計力学
的な定義式について、知らない者はいない(?)であろう。特に後
者、エントロピーは物理学科で学ぶ統計力学の神髄といえるもの
で、ボルツマンの最大の業績である。統計力学は、主にマックス
ウェル, ボルツマン, ギッブスの三人によってつくられた学問
で、量子力学と共に現代の物質科学の2本柱である。3人の中で
も、特にボルツマンの貢献が大きい。

そんなすごい理論体系を作ったボルツマン、しかし彼の人生は
あまり幸福ではなかった。ボルツマンが活躍した当時、熱力学
を説明するために、不確実性についての数学である確率統計の
考えを物理に持ち込むことにアレルギーがあったのだろう。
また、実証主義のマッハによる激しい抵抗のためか、ボルツマ
ンの理論はなかなか受け入れられなかった。

「誰も見た事もない原子など認めん(キッパリ)」

「ましては原子を仮定するボルツマンの理論は意味がない!(バッサリ)」

という具合である。このような批判を受けつつ、彼のつくった
理論を守ろうと一人孤軍奮闘するボルツマン。次第に、マッハ
との哲学論争という泥沼に引きずり込まれてゆくのである。
嗚呼、何という悲劇。

という具合のストーリー展開なのであるが、所々、意味不明な、
訳が見られるので、心地よく読んでいる流れが止められるのが
気にかかった。内容は、どこかできいた事があるような話もあ
るが、とにかく300ページの分量であるから、じっくりと書
かれていて、ボルツマンの異常ぶりが良く分る。なかなか楽し
めた。またボルツマンの仕事が科学史上、量子力学の迎えるた
めの新しい土壌づくりにもなったという考えは、ある程度頷け
る。シュテファン・ボルツマンの法則や原子論といった業績だ
けではなく、物理学に確率を持ち込むというアイディアは、確
かに量子力学に対する予防接種だったのかもしれない。

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